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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

『エミール・ガレ:憧憬のパリ』展レポート。故郷との関係に揺れるガレの実像を知る

2025.3.25

#ART

手書きのメモには性格がにじむ

本展で見逃せない展示品のひとつが、コラム1で展示されているガレの自筆メッセージカードだ。こちらはサントリー美術館が近年収蔵した「デグペルス家伝来資料」の一部で、本展が初公開だという。デクペルス親子は、ナンシーに拠点をおくガレが、自身の作品のパリにおける販売を任せていた相棒的存在で、ガレのパリでの人気を支えた立役者である。カードには流麗な筆跡で、万博を前にした胸のうちなどが綴られている。

マルスラン並びにアルベール・デグペルス宛 ガレ自筆メッセージカード・書簡、マルスラン・デグペルスの名刺 1883〜1902年、サントリー美術館蔵 ※現在は別のカードが展示されています

まず何より、小さい! カードはいずれも名刺サイズ……と思いきや、名刺そのものの余白にメッセージを書き付けている。小さな紙に小さな文字でちまちまと綴られた手紙から、ガレの人となりが想像できるようで可笑しい。一部のカードは日本語訳も読むことができるが、その内容がまた意外に弱気なのだ。「非常に大きな仕事を前にして力不足になることをとても恐れています」とか「今度は名誉の舞台で会いましょう!」など、万博を控え、抑えきれないプレッシャーと興奮が伝わってくる。ガレという人物をぐっと身近に感じ、共感できる瞬間だ。

ガレ自筆制作メモ エミール・ガレ 1900年、サントリー美術館蔵(菊地コレクション) ※現在は別のページが展示されています

一方、こちらはガレによる作品づくりの手書きメモ(第3章で展示)。思ったよりイラストが小さめで文字の分量が多い。こういうネタ帳のようなメモは、作家の思考のプロセスを垣間見るようで面白い。このほか、万博での作品の受注控えなども見ることができるので、展示室内の紙モノにはぜひ注目してみてほしい。

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