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「歌だったら音と一緒に『あなたはこういう気持ちだったんじゃないの』って言える気がします」(富樫)
ー引き算の美学のようなものを感じます。“minamisenju”では<絞りだした言葉は あまりにも無力で あまりにも無価値だ>と歌っていますが、富樫さんの歌詞は言葉の不確かさに自覚的だと思うんです。だからこそ、インスト曲を使うことで世界を描写している点もあるのかなと思ったのですが、いかがですか?
富樫:その通りです。私は言葉がポンポン出てこなくて、話すのも苦手で。でも「あれを言いたかったな」と思う瞬間がたくさんあるし、その時喋った言葉が100パーセント自分の気持ちとリンクしているわけでもない。歌詞は読み物ではないから、音に合わない部分は削除しなきゃいけないので、歌詞以外の側面で表現したいなとは思っていますね。

ー河合さんとロバートさんは、富樫さんの歌詞についてコメントするんですか?
河合:聴き取れないことで不和を感じるものや音に馴染んでいない箇所は言いますが、歌詞は読んでいないです。
―そうなんですね⁉ なぜ読まないのでしょうか?
河合:詩集を読んだりするのは好きなんですが、単純に興味が持てないのが大きいです。昔、歌詞を踏まえた上でベースラインを作ろうとしたことがあって。結果として、分かっているつもりになってしまったんですよね。それであれば、歌詞を文として捉える必要はないかなと。避けているわけではないです。
ロバート:僕はコメントはしないんですが、歌詞を読むのも好きなのできちんと目は通しています。
富樫:コメントは一切ありません。ただ、歌詞の内容ではなく音の配置に対する意見をもらえるのがありがたいですね。メロディーを作っているうちに聴き慣れてしまい、精査仕切れないことがあるので。

―“Whale”で<正しさがぼくを繰り返し変えてく>、”111511“で<だれかのイメージの中で僕は生き続けていく>と歌っているように、他者と生きることや第三者の存在で形作られる自分のことを表現している気がするのですが、いかがですか?
富樫:勝手に出てきた言葉なので、潜在的にはあるのかもしれないですが、自覚はしていないです。でもメッセージを伝えたいとかは全くなくて、内省的な内容だと思います。ただ、第三者が他人であったり自分自身であったりしているとは思いますね。
―ありがとうございます。今後はライブが楽しみですね。
河合:無事にアルバムができたので、ライブの練習をしてみたいと思っている。ライブでかませないのであれば意味が無いので、かましたいなと。
富樫:最近はスタジオにずっといる割に、新曲のアレンジばかりしていました。
河合:アレンジばかりなのは、あんまり良くないんだよね。でも、面白そうなことが出来る気もしています。downtはドラムが土台で俺らが合わせるとかではない変なバランスで成立してたりすけど、最近は理想的なバランスだと思えるタイミングもあって。音楽的に新しいことが色々やれそうな予感があって楽しみです。

downt『Underlight & Aftertime』

発売日:2024.03.06
品番:PCD-25384
定価:¥2,750(税抜¥2,500)
1.underdrive
2.Whale
3.AM4:50
4.prank
5.Yda027
6.煉獄ex
7.mizu ni naru
8.8/31(Yda011)
9.紆余
10.111511
11.13月
https://p-vine.lnk.to/tmghLU