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不安だらけのメンバー募集から始まったdowntの歩み
―downtは富樫さんのメンバー募集から始まっていますが、弾き語りなど別の方法もある中で、バンドという形にこだわってメンバーを募集したのはどういった思いがあったんですか?
河合:確かになんで?
富樫:サークルを卒業した後のブランク期間に、周囲の友達は自分のバンドを組んでオリジナル曲をやっていて。多分それを見ていて、羨ましかったんですよね。自分もやってみたいけれど、曲も作れないし、声をかけるような人もいない。ほろ苦い未練のようなものがあったんだと思います。
―後悔があったからこそ、バンドを選んだんですね。バンドのために京都から1人で上京するのは大きな決断だったと思うのですが、当時はどういった気持ちを抱えていましたか?
富樫:バンドができる希望もたくさんあったんですが、不安の方が大きかったと思います。ネットのメンバー募集でどんな人が来るかも分からないし、スタジオに来ないかもしれない。不安だらけだったけれど、「きっと大丈夫。きっと大丈夫」と言い聞かせていました。

―河合さんは富樫さんの募集を見て連絡したということですが、どういった理由があったのでしょうか?
河合:当時メンバーとして活動しているバンドがなかったので、単純にバンドを探していたんです。それでメッセージを送って、スタジオを経てたまたま一緒にやりましょうとなっただけですね。
―音楽的な側面に共感した部分はありましたか?
河合:正直、曲はそんなに。多分バンドをやったことがないんだろうなとは思ったんですけど、ギリギリいけるかなって。
―形にできるかどうかということですか?
河合:いや、自分のエッセンスを入れられるなという感じです。自分の方向性と違ったら「他の人にしたら良いんじゃない?」となっていたと思うんですけど、なんとなくいけるかなと。

―自分との共通項があったんですね。
河合:そうですね。メロディーは綺麗な感じだったんですけど、訳の分からないフィルインとかがあって。
富樫:今聴いたらひどいですよね。
河合:いや、それが良かったんだよね。結局最後は削ったけれど、やりたいことが「パンク」なんだって伝わってきたので一緒にやってみようと思えました。
―ロバートさんは河合さんに誘われてスタジオに入ったと思いますが、自分のやりたいことを入れられるなという感じだったんですか?
ロバート:やったことがないから面白そうという感覚が強かったですね。ドラムをもっと叩きたい、バンドを沢山組んでドラムに割く時間を増やしたいみたいなタイミングでした。河合さんと一緒にやりたかったのもありましたし、送られてきた“111511”も「人が叩けるのか?」みたいな箇所がありつつも、何か楽しいことが起きそうなワクワクがありました。
―河合さんとロバートさんはdownt以外のバンドでプレーすることもあると思います。他のバンドとdowntで自分の立ち位置や役割の違いは感じていますか。
河合:特に意識はしていないです。でも、特定のバンドを中心にしたいというよりは、音楽を中心に生きていたい人とバンドをやりたいと思っていますね。各バンドに合わせて選択を変えたりすることはありますし、口に出す内容も違いますが、基本的には音楽を軸にしています。
ロバート:それぞれのバンドで気づいたことを活かしてはいますが、立ち回りや役割は変えてないですね。

―バンドとしてやっていく中で、音楽的な方向以外にも性格的な一致が重要だと思います。人としての部分での共感は出会った当初からあったのでしょうか?
富樫:全然理由は分からないんですけど、最初に河合さんとスタジオに入ったときに同じ匂いがしたんです。
―それは直感的に?
富樫:そうですね。だから特に何の疑問もなく、この人とバンドをやっていきたいなと思いました。ロバートさんはしっかりしていて、何も問題がない人だろうなと思って。
河合:俺も富樫のことはしっかりしてて真面目な方なのかなと思っていたんですけど、正社員として働いていたのに、2回目のスタジオでいきなり、やりたいことのために仕事をやめてきたと言っていて、クレイジーな奴だなと思いました。週末の飲み会的なバンドだと思ってたので。
