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ジム・オルークが奏でる電子音の優しさと緊張感
まだ太陽も高い時間帯だったが、ほぼオンタイムでジム・オルークが登場。即興的にも聴こえる電子音の連なりだが、かつてのソロアルバム『The Visitor』(2009年)のように綿密に構成されているようにも感じられる。曲から曲へというような継ぎ目を持たせない。その音は、揺れる木立や鳥の声、ゆっくりと集まってくる人々の動きやざわめきと溶け合って聴こえた。電子的に発生するその音は自然界には存在しないし、本来なら対立し合ってもおかしくないのに。

ジム・オルークのアプローチは、モート・ガーソンらが提唱した植物に向けた音楽の優しさとも違っていて、時にこわばったり、緊張もする。それは、この場を借りて生きる侵入者としての人間が取るべき態度と率直な実感を反映しているようにも思えた。

