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ジャーナリズムの精神と表裏一体の非人道さ
本作は戦場カメラマンの動向を追うことで、ジャーナリズムの重要性を訴えながらも、そこには現実を冷徹に切り取る非人道さの視点も確実に込められている。
世界の残酷さを写真あるいは文章で伝えることは重要であるし、実際に劇中の4人のジャーナリストはそれぞれの正義感と使命を持っており、そこは否定してはいない。だが、目の前の恐ろしい事態、それこそ人間が無惨に命を落とす最中でもシャッターを切る様は、やはり不謹慎かつ冷徹に見える場面もある。
それ以上に恐ろしいのは、終盤で起こるとある事態だ。詳細は秘密にしておくが、それまでに信念と精神が蝕まれ続けたベテラン戦場カメラマンと、彼女とは対照的に死線を越え成長を遂げた若手カメラマン、それぞれの「変化」の先にあった結末を、決して忘れることはできないだろう。