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本作がシリーズ屈指の傑作である理由
ディズニーによるルーカスフィルム買収後、「SW」の新作が次々と作られている。その多くは、既存のキャラクターを再登場させファンの期待に応えるものや、同じ物語の構造をなぞったリブート的な作品になっている。各作品の評価はファンの中でも大きく分かれているが、ストーリーがおざなりになっていると言わざるを得ないものや、オタク以外の鑑賞者を置いてけぼりにするものも多い。その中にあって『キャシアン・アンドー』『ローグ・ワン』は、ジョージ・ルーカスによって構築された「SW」の世界観を活用しながら、独立した作品として鑑賞可能な強度を持つ、まったく新しい刺激的な物語を生み出すことに成功した、稀有な作品だと言えよう。

「『SW』にリアリズム的な描写や政治性は求めていない」というファンのコメントを目にすることも多い。しかし、「SW」は当初から政治的な作品であったはずだ。ルーカスが1978年にレジスタンスを主役、帝国を敵とした物語を描いたことには、明確に帝国主義への批判を見てとれる。帝国はナチスを模したものであると同時に、アメリカでもあり、反乱軍はベトコンでもあった(※)。決してメカやクリーチャー、活劇や父子の神話だけが「SW」ではないのだ。『キャシアン・アンドー』『ローグ・ワン』は、「SW」のそうしたある側面を正統に受け継ぎながら、それをより精緻に、今日的に拡張した、実に「SW」らしい傑作なのである。
※Jonathan W. Rinzlerの著書『The Making of Return of the Jedi』では、ルーカス自身がストーリー会議に於いて「パルパティーンはリチャード・ニクソンである」と語ったエピソードも紹介されている。
『スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー』シーズン2

4月23日(水)よりディズニープラスにて日米同時独占配信開始
https://www.disneyplus.com/jp