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安部勇磨が振り返る自身初のアメリカツアー。バカなことに挑戦し続ける理由

2024.5.1

#MUSIC

慣れない環境での北米ツアー。オーディエンスへのアプローチについて

ーツアー初日と最終日では、演奏にも変化はあったかと思います。アメリカのオーディエンスへのアプローチの仕方に変化はありましたか?

安部:日本のライブでは盛り上がる曲のリアクションが意外と薄かったり、逆に予想外の曲で反応が良いときもあったのがおもしろかった。曲数が足りなくて、今回のツアーではネバヤンの”夏がそうさせた”というゆっくりな曲も演奏したのですが、曲中のテンポが変わるタイミングで向こうのお客さんは声をあげて盛り上がってくれて。日本とは反対のリアクションで、今後の曲作りに繋がる発見でした。

アメリカツアーの4公演目、ミシシッピの会場Mississippi Studiosにて。安部、サポートメンバーと会場スタッフ
Photo by Asami Nobuoka

ー安部さんの作品は、トロピカルなサウンドでありつつ、日本的な要素も取り入れ、細野晴臣さんからの影響も感じられます。楽しげなのに、どこかエキゾチック。そんな音楽への現地オーディエンスのリアクションはどうでしたか? 細野さんのような音楽を求めてライブにきた人もいたのでしょうか。

安部:今回のツアーで細野さんの”冬越え”をカバーしたのですが、曲前のMCで、「次は細野晴臣さんの”冬超え”のカバーです」と紹介すると、年配の人も若い人もすごい盛り上がってくれて。「Haruomi Hosono!!!」って叫んでる人もいました(笑)。ローウェルという田舎街でライブをした時は、一番お客さんが少なくて、3、40人くらいだったのにすごい物販を買ってくれて。会場にいた年配のおじいさんに話を聞いたら細野さん経由でSpotifyで僕のことを見つけてくれたらしいんです。やっぱり細野さんはすごい。

ー13日間で11都市を回るタイトなスケジュールのツアーだったかと思います。大変だったことはありますか?

安部:2日目や3日目あたりが一番しんどかったです。約2週間で12回ライブをするスケジュールがタイトだったのもありましたが……。何もかも違う環境だったし、当然緊張しました。楽屋がない日や、楽屋が相部屋だった日もあって、とにかく勝手が分からず、なかなか落ち着つかなかったんです。僕は英語があまり喋れないので、演奏をミスってもいつものように笑いにできないから「あんまりミスんないで」って最初のうちはメンバーに言ってました(笑)。

ーどうやって乗り越えたのでしょうか。

安部:4日目くらいから楽しくなってきました。アメリカに来た実感を得る間もないスケジュールだったので、「とにかく良いライブをして爪痕を残したい」という気持ちしかなくて。今時間が経って改めてもう1回行きたくなったし、不便な環境ゆえの楽しさを噛み締めてます。サポートメンバーのみんなとこんなに同じ時間を過ごしたのも初めてだったので、ドキドキしていましたが、それも含めていい経験でした。ミスを笑いにする方法も次第に掴めたし、ステージ以外の時間も次のライブのことをずっと考える日々で本当に濃い時間でしたね。ちょっとつまらなそうにしていたお客さんのことは悔しくて今でも覚えていて、「絶対次またやってるからな」と思いました(笑)。ヒリヒリする感覚がないと飽き足らない性分の僕には、向いている環境だったのかもしれない。

アメリカツアー10公演目、ローウェルの会場Taffeta Music Hallにて
Photo by Asami Nobuoka

ー「言葉の壁」は日本人が無意識に感じてしまう引け目だと思いますが、音楽はそれを超えられるものでもあります。言葉の壁を感じた瞬間はありましたか?

安部:言葉の壁があるからこそ、違いがあっておもしろいと思っていて。いろんな民族や人種がアメリカにいる中で、たまたま日本人に生まれたからには、日本のストロングポイントを使うしかないと思うんです。壁があるからこそ、向こうにも越えられない壁は絶対にあるはず。ツアーに参加してくれたDYGLの下中(洋介)くんと嘉本(康平)くんは普段英語で歌ってるので率直な感想を聞いてみたら、「(日本語で歌うことについて)全然大丈夫だと思う」と言ってくれて。日本語の言葉の響きを音符にはめていく方法だとどうしても似たような曲になりやすいので、やり方次第では全然日本語でも通用するかもしれないということに気づいたんですよね。

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