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創造性の追求か、お金か、人間関係か……いちばん重要なのは、自分にとって何が大切なのかということ
ーお二人ともこういう活動を続けているのがクレイジーなことだとおっしゃっていたのが非常に印象的だったんですけど、なぜここまで続けられてこれたのかを改めて伺いたいです。
トミーカ:能力もあるかもしれないけれども、とにかくこれが自分にとって大事なことっていう信念が一番重要だったと思う。そしてできる限り最善を尽くして夢を追うことが本当に重要だと思います。私にとっては、音楽が生きていく場所なんです。
別にそれ以外のものを大事にしているって人がいてもいいんですが、前提としてジャズはお金になるものではないですから。私はお金ではなく、経験や人間関係に価値を置いていて、それがあれば私にとっては十分なんです。たとえば、私は今週末に『Chicago Jazz String Summit』というフェスティバルを開催するんですが、それも全然儲けにならないのに自腹でやってるんです。幸運にもその費用を賄うための助成金を得ることはできましたが、クレイジーですよね(笑)。
メアリー:私は創造的でありたいという意思で続けてきたと思います。音楽であれ、その他のクリエイティブな手段であれ、何か新しいものを作り、これまでにやったことのない何らかの方法で自分自身を表現しようとするアイデアが重要なんです。誰にでも新しいことをやりたいとか自分を表現したい思いはあると思いますが、私にとってはその表現の手段が音楽なんです。
ーこれからジャパンツアーがはじまりますが、どういうステージになりそうか教えてもらえますか。
トミーカ:もちろん新作からいっぱいやるつもりです。フリーのインプロビゼーションももちろん入ってくると思うし、おそらく毎晩違うものを見せられると思います。たとえばお寺とか、東京のクラブとか、いろんなところでやるので、それぞれの場所から受けるフィーリングが音楽に反映されておもしろい演奏になるんじゃないかなと思ってます。
メアリー:私たちみたいなあまりコマーシャルな音楽をやっていないミュージシャンには多くの機会があるわけではないので、今回の日本ツアーは本当にワクワクしています。遠い距離を長時間フライトするうえに、十分な公的なサポートもありません。でもこうやって日本やアジアの他の場所に行けるのは、周囲の助けがあるからこそですし、本当に有意義で、ありがたいことだと思っています。
トミーカ:日本に行くこと自体初めてなのですごく興奮してるんだけれど、日本のみなさんに楽しんでほしいし、私たちの音楽が楽しいものとして受け入れてもらえれば嬉しいです。せっかく遠い日本まで行くのでバンドのみんなで同じ風景を見て、美味しいものを食べたり、絆が深まるような経験を踏まえて、そのインスピレーションが音楽に反映されるみたいな、そういうツアーになったらいいなと思ってます。
うちのドラマーは日本にルーツがありますし、ベース奏者の妻も日本人で、ジャパンツアーの話は早い段階から話があったような気がします。だからこうして日本に行けるのは私たちにとっては夢のような、ある意味本当にやりたかったことなんです。
自分のプロジェクトではあるけれども、でもこのカルテットみんなのプロジェクトっていう意識でやっていて、バンドのみんなと一緒にいるから私の曲が生命を得ることができる。そういうこともあって今回のジャパンツアーは、私からメンバーへの大きな感謝のかたちなんですよね。

『Tomeka Reid Quartet Japan Tour』

2024年6月5日(水)
会場:東京都 南青山BAROOM
https://baroom.zaiko.io/item/363666
2024年6月7日(金)
会場:愛知県 TOKUZO -得三-
https://www.tokuzo.com/2024Jun/20240607
2024年6月8日(土)
会場:大阪府 スピニングミル
https://www.keshiki.today/event-details/trq2024osaka
2024年6月10日(月)
会場:岡山県 蔭凉寺
https://omnicent.org/event/tomeka-reid-quartet-japan-tour-in-okayama
2024年6月13日(木)
会場;福岡県 九州大学大橋キャンパス音響特殊棟
https://peatix.com/group/11649039
2024年6月15日(土)八女
会場:福岡県 旧八女郡役所
https://yame-ongaku.square.site