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ドラマ『VIVANT』最終回直前レビュー 「とてつもない冒険」の結末は

2026.11.8

#MOVIE

©TBS
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連続ドラマとしては異例の2期連続放送となった『VIVANT』(TBS系)の第2シーズンがついに最終回を迎える。

シーズンを通して描かれたのは、主人公・乃木憂助(堺雅人)を中心に編成されたチームによる、秘密情報組織「シンシー」に拉致された乃木の後輩・黒須(松坂桃李)ら別班員の奪還作戦。

奪還は成功したものの、最終回直前となった第23話では、第1シーズンから乃木の心の支えであったバルカの少女・ジャミーン(本間さえ)が大きな鍵を握る存在であることが明らかになり、シンシーによって、その生命が脅かされてしまう。

第23話ラストの、野崎守(阿部寛)に対する凶弾の行方も気になる本作の第19話から第23話について、ドラマ・映画レビュアーのuriがレビューする。

※本記事にはドラマの内容に関する記述が含まれます。あらかじめご了承下さい。

「同時通訳機」で豪華声優陣が吹き替える背景

国境や組織の垣根を越えた、乃木率いるアベンジャーズ部隊©TBS
国境や組織の垣根を越えた、乃木率いるアベンジャーズ部隊©TBS

堺雅人主演の日曜劇場『VIVANT』第2シーズンがいよいよ最終回。第1シーズンから続く乃木(堺雅人)の冒険は、「世界中を巻き込む大きな渦」の只中において、次なる「とてつもない冒険」へと踏み出そうとしている。

第19話では、別班員奪還作戦が本格的に動き出した。集結したのは、国境や組織の垣根を越えた、乃木率いるアベンジャーズ部隊だ。様々な言語を使う多国籍な彼らを繋ぐアイテムとして、第18話からは各メンバーに「同時通訳機」が渡されており、日本語以外を話すキャストのセリフを日本の豪華声優陣が吹き替えている点も話題の一つとなった。

昨今のドラマにおいて外国語話者のセリフを吹き替える手法は増えつつある。2026年7月期の『大空港~GATE24~』(テレビ朝日系)では本編途中から自動的に完全吹き替えに切り替わる演出が採用され、現在放送中の『kiDnap GAME』(フジテレビ系)でも主音声が吹き替え、副音声がオリジナル音声となっている。 そして、こうした演出には賛否両論あるのも事実だ。

それでも、本作があえて吹き替えを選んだ背景には、テレビ広告のターゲット区分で言うところのC層(4~12歳)やT層(13~19歳)を中心とした若い層からの本作に対する支持が関係しているのではないだろうか。『名探偵コナン』や『鬼滅の刃』など国民的アニメで馴染みのあるキャラクターたちの声が次々と飛び込んでくる体験も、若い世代にとっては本作を楽しむ要素の一つになっているはずだ。また、『VIVANT』のように情報量が多く、展開もスピーディーな作品の場合、字幕の文字を追うよりも、映像に没入できる吹き替えを採用した方が理にかなっているのかもしれない。

ノコル(二宮和也)らの強い思いが光った別班員奪還作戦

家族や仲間のために命をかけるノコル(二宮和也)©TBS
家族や仲間のために命をかけるノコル(二宮和也)©TBS

本作の興味深いところは、別班員奪還作戦を、緻密な計画や個々の能力が光る「脱出劇」だけでなく、大切な人から受け継いだ意志や、誰かを思う気持ちを原動力とした見せ場としても描いていたことだろう。

なかでも、ノコル(二宮和也)の存在はひときわ印象的だった。

第19話では、別班員が拘束されている「シャキ城」攻略のために、村人の尊厳にストレートに訴えかける見事な交渉術を見せ、第20話では「結局、両方から金を取るやつが必ず現れる。それが人間」と、裏切り者が出ることまで見越した冷静さを覗かせた。さらに第21話では、奪還作戦の最大の難所に備えて「ある秘策」を用意する周到さも際立っていた。この奪還作戦で、ノコルの果たした役割は見た目以上に大きい。

村人の誇りを尊重し、万全の備えを整えながら、家族や仲間のために命をかけるノコルの姿には、理不尽な状況に置かれた人々に寄り添ってきた父・ベキ(役所広司)の精神が息づいている。

新庄(竜星涼)への思いを力に変えたチョッキー(オーム・タナパック)©TBS
新庄(竜星涼)への思いを力に変えたチョッキー(オーム・タナパック)©TBS

また、第20話においては、チョッキー(オーム・タナパック)が新庄(竜星涼)への思いを力に変え、持ち前の身体能力で難関を突破。疑いや駆け引きが渦巻くこの世界で、相手をまっすぐに思う彼の純粋さも、仲間を救う力になってきた。

あるいは、かつて乃木たちを執拗に追いかけていたチンギス(バルサラハガバ・バトボルド)が、第21話においては命懸けで彼らを守ろうとする。敵だった人物が頼もしい味方になるという展開も胸を熱くさせるが、その行動の根底には、幼少期に自分を救ってくれたベキへの深い恩義と、彼から受け継いだ信念が感じられる。

 国境や組織、そして言葉の壁すらも越えて集った彼らの思い。それらが深く共鳴し合い、奪還作戦を成功に導くひとつの大きな力となったのだろう。だが、成功の陰には、決して拭いきれない痛みも残されている。

「全員生還」の願いが打ち砕かれた先で描かれた光と闇

仲間を拷問したシンシー工作員の周浩然(リンリン)への奪還チームの怒り©TBS
仲間を拷問したシンシー工作員の周浩然(リンリン)への奪還チームの怒り©TBS

2本目の記事でも触れた通り、奪還チームが掲げる目標は「全員生還」。しかし、乃木たちが作戦決行を急ぐ裏で別班員・和田(平山祐介)がシンシーによる拷問の後に死亡し、その願いは無情にも打ち砕かれてしまった。

印象的だったのは、これまで見せなかった激しい怒りをシンシー工作員の周浩然(リンリン)にぶつける別班員たちの姿だ。度重なる拷問にも感情一つ見せなかった別班員たち。そんな彼らの「怒り」からは、どれほど絶望的な状況に置かれても、人としての尊厳までは決して奪わせないというメッセージが感じられた。

『VIVANT』は、仲間との絆や再会の喜びといった「光」だけではなく、その背後に横たわる残酷な現実という「闇」にも目を向け続ける作品である。

乃木ら「3人の父親」が抱く切実な葛藤

乃木の父・ベキ(役所広司)は生きていた©TBS
乃木の父・ベキ(役所広司)は生きていた©TBS

第23話は、光と闇が交差する割り切れない世界において、そうした狭間に揺れ動く「3人の父親」の切実な葛藤に焦点を当てた回であった。

例えば、ジャミーン(本間さえ)の父親代わりである乃木は、ドラム(富栄ドラム)の証言からシンシーによるジャミーンの奪取計画を知ると、パートナーである薫(二階堂ふみ)に別班としての自らの正体を知られる覚悟で2人の救出へと向かう決断をする。大切な人に拒絶されるかもしれないという不安と、別班としての使命。その間で揺れる乃木の葛藤が浮き彫りになっていた。

また、第22話で生存が明らかになった乃木の父・ベキは、「テント」で様々な血を流してきたことへの自責の念から、息子の手によって命を絶たれ、亡き妻・明美のもとへ行くことを望んでいたが、商社マンの立場から語る乃木の説得を受け、ノコルやバルカの民を支えるため、別人として生きる道を選んでいた。

エリシャ・ママドフ(マナフ・ダダショフ)は娘・プリシャ(野島瑠玖)を守るために離れた©TBS
エリシャ・ママドフ(マナフ・ダダショフ)は娘・プリシャ(野島瑠玖)を守るために彼女のもとを離れた©TBS

そして、「核融合の持続化」を実現した天才科学者・エリシャ・ママドフ(マナフ・ダダショフ)も、我が子に危害が及ぶのを避けるべく、娘・プリシャ(野島瑠玖)と離れる道を選んだ。娘を思う父親としての愛情と、科学者としての宿命の狭間に父親の苦悩が浮かび上がる。

彼らの決断は、一見すると大切な存在よりも自らの使命を優先したように映る。しかし、その選択こそが、結果としてかけがえのない存在を守ることに繋がってきたのだ。

プリシャが鍵となる「とてつもない冒険」の結末は

乃木に様々な言語で「とてつもない冒険」に必要なものを伝えたエリシャ©TBS
乃木に様々な言語で「とてつもない冒険」に必要なものを伝えたエリシャ©TBS

そして、彼らがまるでバトンのように命を繋いできたプリシャ=ジャミーンの存在こそ、これから始まる「とてつもない冒険」の大きな鍵となっている。

第23話において、エリシャは「とてつもない冒険」には動物的直観力や、人類の持つ知力、精神力など全ての力、そして苦境を共にする仲間の存在が欠かせないと語っている。思えば、今回の別班員奪還作戦も、乃木の力だけでは成し遂げられなかった。信頼できる仲間の存在があったからこそ、危機を乗り越えてこれたのだ。エリシャの言葉は、これまで乃木たちが歩んできた道のりにも重なる。

第1シーズンから続く乃木の冒険は、いよいよ最終局面を迎える。それぞれが大切なものを守るために重ねてきた選択は、どんな未来へと繋がっていくのか。多くの人々の思いが託されたジャミーンと乃木たちが迎える「とてつもない冒険」の結末を最後まで見届けたい。

日曜劇場『VIVANT』

©TBS
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TBS系にて毎週日曜よる9時から放送中
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/VIVANT_tbs/

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