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何のために演じるのかと聞かれれば、それは自分を壊すため。(森田)
—観客にはこの舞台を観てどんなことを感じ取ってもらいたいですか?
山西:社会的なメッセージにあふれている作品ではありますが、演出家として、シンプルにこの物語を舞台で上演したら面白くなりそうだなという予感があったので、メッセージやテーマは一旦置いておいて、まずは「面白かった!」と感じてもらいたいです。とても文学的で、哲学的だけれど、ちゃんとエンターテインメント性がある物語なので。
森田:誤解を恐れずに言えば、お客さんにどう思って欲しいか、どう感じて欲しいか、ということはあまり考えていないんです。お客さんに向けて演じてはいない。もちろん、劇場にお客さんが足を運んでもらわないと成り立たないですし、喜んでもらえたらとても嬉しい。それは大前提です。
でも、「こう感じて欲しい」みたいなのは僕自身にはないんです。何のために演じるかって聞かれたら、それは自分を壊すためなんだと思っています。しっかりと壊すことができれば、結果としてちゃんとしたものが届けられる。だから、目の前のことに集中するだけです。

—壊す、とは?
森田:壊すというのは自分の中のストッパーを外す、という感覚に近いです。自分は基本的に怠け者なので、負荷がかからないと何もやらないんですよ。よく「何考えているの?」と聞かれるんですが、本当に何も考えてないことが多くて(笑)。だからこそ難しい役に取り組んでストッパーが外せると、自然と前に進めるというか、動き出せる感覚があるのかも。
—森田さんはコンスタントに舞台作品に出演されていらっしゃるので、毎回挑戦していたら、体がもたないのでは?
森田:もちろん、大変なこともありますけど、人との出会いは大きなモチベーションになっています。山西さんとまたこうやってご一緒できるのも嬉しいし。
山西:そんなこと言ってもらえてありがたいです。僕も、人との出会いがモチベーションにつながっていくという感覚は、すごくわかります。「こんな面白い人がおるんやったら、もうちょっとやってみたいな」という気持ちは、この仕事を続けていく大きな理由になっています。

森田:そうですよね。自分一人では思いつかないようなところでコミュニケーションが生まれたり、表現方法を鍛えられたりする。今回もはじめて共演する方々ばかりなので、その点も楽しみです。