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市民の当たり前をゆさぶる芸術祭が生む、千葉の未来への期待感
―最後に、会期も終盤にさしかかった『ちばげい』ですが、芸術祭としての手応えはいかがですか?
西山:私は今回初めてアートの分野に仕事として関わらせてもらいました。この言い方が適切かどうか分からないんですが、そもそもアートって得体が知れないものじゃないですか(笑)。でもすごいなと思ったのは、市民のアートに対する「得体は知れないけれども期待感はある」という空気を強く感じたことなんです。
分からないからと拒絶するのではなく、自分たちの地域にアートが来ることを、みんな意外とおもしろがっているし、経済効果だけではない、何かを期待している。私が携わってきた「まちづくり」では、やっぱり結果を事前に問われることが多いんです。でも、アートって別に結果を出すことが目的ではないじゃないですか。だからこそアーティストは自由な発想ができるし、市民の方々も「まずはやってみよう」というスタンスでいられる。そういう「分からなさ」をみんなで抱えていくって、すごく意味のあることだと思います。

―「芸術には得体の知れない期待感がある」というのは、本当にその通りですね。
いわさわ:僕としても「いい違和感を地域にばら撒けてるな」と思います。あと印象深かったのは、僕らのスペースに来てくれた人に「近所で芸術祭をやってくれて本当にありがたい」と言われたこと。その方は、いろんな地域の芸術祭をメディアを通じて知っていて、行ってみたいと思っていたけど、飛行機や宿泊施設を押さえてまで行こうとは考えてなかったから、徒歩圏内で芸術祭が開催されて嬉しいと(笑)。このようにアート好き以外の人たちに裾野が広がり、地域の人たちも参加者になってくれていると感じますね。

西山:私が芸術祭をやってよかったと一番思えた言葉は「当たり前がくずれた」。いろんな場所で何人もの方に言ってもらった言葉です。芸術祭をきっかけに街の景色が変わっていくことも大事ですが、この街で生きる人たちの価値観が更新されていくことに希望を感じます。
いわさわ:アートって、必ずしも全て分かる必要はないんです。何か分からなくても、勇気づけられたとか、心が動いたということが大事ですよね。だから『ちばげい』で何か一つでもグッと来る出会いがあれば、みんなもっとこの街を好きになってくれるんじゃないかな。

『千葉国際芸術祭2025』

集中・展示発表期間は終了したが、今年度最終イベントを以下のとおり開催予定。
3年後の“ちばげい”にバトンを渡そう!
アーティストもボランティアも市民も運営も
みんなで話す、ぐるぐるラウンドテーブル
日時:2025年12月20日(土)10:00〜12:30
会場:千葉市役所 (千葉県千葉市中央区千葉港1-1)
参加費:無料
対象:千葉国際芸術祭2025に関わった一般参加者、ボランティア、アーティスト、運営メンバー
公式サイト:
https://artstriennale.city.chiba.jp/