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坂本龍一は、生と死の狭間で何を考えたか。晩年の映像、日記を映画化した監督を取材

2025.11.26

#MUSIC

Photo by Neo Sora ©️2022 Kab Inc.

朗読を通じて立ち上がる、坂本龍一と田中泯の共鳴関係

─日記を朗読する田中泯さんとは、どのようなやりとりがありましたか。

大森:泯さんとは最初は食事に行きました。泯さんは農業もされているので「深谷ねぎはこうで、九条ねぎはこう」というふうに、野菜のお話をいろいろ話してくださいました。打ち合わせというよりは、水が合うかどうかのセッションのようでした。

ナレーション収録の現場では、立って読むか座って読むか、読むテンポ感、マイクとの距離感といったさまざまな点を、すごく丁寧に確認されていました。座って読んでいて「何かしっくりこない」という場面があり、立って読むと、こう、中心に筋の通った、グッとくる声になったり。

『Ryuichi Sakamoto: Diaries』より / © “Ryuichi Sakamoto: Diaries” Film Partners

大森:泯さんと私は50歳近く年が離れていますが、それでも「何かしっくりこない」と感じたときは、きちんと伝えました。そういうときは泯さん自身も、他のスタッフも「きてない」のがわかるし、逆に「くる」ときは満場一致で「これだ!」という空気になる。そういう一体感のもとで収録が進んでいくのは、非常に貴重な体験でした。

─制作中、泯さんが個人的に、坂本さんについて語る場面はありましたか?

大森:打ち合わせの中で「素晴らしい日記ですね」ということはおっしゃっていましたね。泯さんから伺った話ですが、生前の坂本さんとの会話では、全然、世間話はせず、「人類とは」「戦争とは」といったスケールの大きな話題が多かったそうです。ストレートで、寄り道のない会話といった感じでしょうか。互いに、生き方や人柄で共鳴する部分はあったんじゃないかと思います。

『Ryuichi Sakamoto | Opus』収録曲

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