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西美『オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる物語』で堪能する、印象派の意外な魅力

2025.10.31

#ART

裸婦の描き方に出る、画家のこだわり

第2章の「室内の情景」と第1章の「室内の肖像」は割と似ていて、どちらも肖像画と風俗画の間を行ったり来たりしているような印象を受けるかもしれない。しかし、展示室の奥へ進むにつれてどんどん様子がおかしくなってくる。肖像画といっても通用しそうなよそゆきのポーズ、舞台設定から、次第にプライベート空間で気を抜いている風の人物像が登場してくるのだ。画家の視線は室内の奥の奥へと進んでいく。

こちらはドガが、巻き爪の治療を受ける姪っ子(10歳)の姿を描いたもの。一体なぜそんなシーンを描こうと思い立ったのかは計り知れないが、爪が痛いのかぐったりした様子の姪っ子が「こんなとこ描かないでよ……」と思っているように見えて可笑しい。

ピエール=オーギュスト・ルノワール『大きな裸婦』(1907年)

部屋の奥の秘密の場所、といえばそれはやはりベッド。伝統的な裸婦像に則ったしどけないポーズで横たわる裸婦は、柔らかくいい匂いがしそうで、鑑賞者の視線を釘付けにする。まさにルノワールの本領発揮といえる作品だろう。

エドガー・ドガ『背中を拭く女』(1888-1892年頃) / 国立西洋美術館

同じく裸婦を描いているけれど、ドガの裸婦は「どっこいしょ」と言わんばかりのポーズで思いっきり洗体中である。ここでは同様に「髪をとかす女性像」も、ルノワールとドガによる2作品を観比べることができる。女性のリラックスした肉体に理想を託しているかのようなルノワールと、あえて人に見られたくないであろうシーンを切り取るドガ、双方のこだわりが見えるようで興味深い。

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