INDEX
ママ友たちも驚いた、柴咲コウ演じる「村井理子」
ーキャラクターの肉付けにあたって、監督は脚本を書く前に村井さんにお話を聞かれたそうですが、どんなことを聞かれたんですか?
中野:原作にないお兄さんや皆さんのエピソードをいっぱい聞きましたね。それが僕にとっては刺激的でした。だから今回の脚本って、原作にあったもの、村井さんに教えてもらったところ、そして僕がオリジナルで作ったところの3つが合わさってできあがったものなんです。村井さんへの取材から生まれたシーンは、「焼きそば」の話とか、お兄さんと良一くんの暮らしぶりに関するあるエピソードとかですね。取材って大切だと思いました。
それと、原作では、なかなか過去の話はたくさんは書けなかったと思うんですけど、両親がジャズ喫茶をやっていて、ときどきお兄さんに自転車に乗せてもらって見に行ったというのも実話で、こういうシーンって映画としては重要だったんですよね。
ー監督の中では、お兄さんを演じるのがオダギリさんでないといけないという思いはやっぱり強かったんですか?
中野:オダギリさんだったら、憎いところと憎めないところを両方ちゃんとできる人だなという考えはありました。映画の終盤、「それぞれにとってのお兄さん」がアパートに出てくるシーンがあるんですが、そこなんかは想像以上で、本当にすごい役者だって、改めて思いましたね。
ー村井さんの役を演じられた柴咲コウさんに関してはいかがでしたか?
中野:柴咲さんって圧倒的な主役感があるし、これまではクールな役が多いイメージだったんで、今回の生活感のある役をどう演じるんだろうという思いもあったんです。でも、ご本人もいろんなアプローチで考えてくれていて、お弁当を自分で作って現場に来られたりして、理子という役を見事に演じてくれてました。満島ひかりさんの加奈子(兄の元妻)は、ドンピシャだなと思っていましたが、やっぱり見事でしたね。元夫とはもう一緒には暮らせないけれど、でもどこか嫌いじゃないというラインが絶妙でした。キャスティングに関しても、それぞれのお芝居にもとても満足しています。

村井:私もとにかくすごいなと思いました。私のママ友たちが、この映画で私を演じてくれた柴咲さんの写真を見て、「ここまで寄せてくれるんだ!?」って驚いてましたね。服装とかも、シャツにスパッツを合わせるのも「理子ちゃんがやりそう!」って。
中野:村井さんと柴咲さん、満島さんはオンラインで話したりもしてるんですけど、でもアプローチとしては、そのくらいなんですよ。真似をすることは求めてないですとお伝えしていて、柴咲さんもそれを理解していました。その上で似てるって言われたらうれしいですよね。