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岡田将生の俳優としての凄さ。セリフに依拠しない演技の凄みを、井上剛監督が語る

2025.10.10

#MOVIE

村上春樹の短編連作小説『神の子どもたちはみな踊る』を、岡田将生、鳴海唯、渡辺大知、佐藤浩市が主演で映画化した『アフター・ザ・クエイク』。メガホンを取ったのは、『その街のこども 劇場版』(渡辺あや脚本)などを手掛けてきた井上剛、脚本を『ドライブ・マイ・カー』の大江崇允が担当している。

本作は、4つの時代が連なる作品になっている。その第1章で「からっぽ」な主人公・小村を演じた岡田将生と、井上監督の対談が実現した。映画やドラマに引く手数多な岡田が今作の脚本や演出に引かれた理由や、井上監督との撮影のエピソードを聞いた。

※本記事には映画の内容に関する記述が含まれます。あらかじめご了承下さい。

『ドライブ・マイ・カー』に引き続き、村上春樹原作を演じるということ

―今回、大江崇允さんの脚本、村上春樹さんの原作で、岡田さんはこの座組でのお芝居を『ドライブ・マイ・カー』に引き続き2回目ですけど、今回はいかがでしたか?

岡田:村上さんも大江さんもそうなんですけど、他の脚本とは違い、余白がたくさんあって、でも言いたくなるセリフもたくさんある。「このセリフを言うために、どうやって設計していこうか」と考えるのも楽しかったです。物語に入っていける没入感も、大江さんの脚本だからだと思います。

―言いたくなるセリフっていうのはどういうところにあるんですか?

岡田:これ、言語化が難しいんですけど……このセリフ言いたいなっていうのがあるんですよね。

井上:村上春樹さんの原作は小説的なセリフが多いんですけど、それを肉体化するのって難しいことなんですよ。セリフがかっこいいから、我々がそれに騙されてるのかもしれないということもあって、それでセリフを抜いて演技してみようって言ったところもあったんですよ。

岡田:セリフがなくても、成立する部分が何個か見えたんですよね。

井上:それで成立する岡田さんと妻の未名を演じた橋本(愛)さんもすごいけれど、そのことによって、大江さんの書いたセリフのすごさも見えてきたんですよね。

あらすじ:1995年、妻が姿を消し、失意の中訪れた釧路で UFOの不思議な話を聞く小村。その他、2011年、2020年、2025年それぞれ別の登場人物による物語が繰り広げられる。世界が大きく変わった30年を描き、日々目まぐるしく変化する時代に生きる私たちが、再び大切なものを見つけ出すための希望の物語。

―岡田さんへのオファーは、どういった経緯でされたのでしょうか。

井上:『ドライブ・マイ・カー』のプロデューサーであり、本作のプロデューサーでもある山本晃久さんとも話し合って、早い段階から岡田さんしかいないと思っていました。実際に演技を見ていて、ほんとにセリフが身体に入っているなって思いましたよ。

岡田:井上監督といつかご一緒したかったですし、信頼する山本晃久プロデューサーもいて。村上春樹さんの作品を演じることは難しいけれど、みなさんと悩みながら作っていくことが好きだったし、それができるチームだなと思って受けました。

岡田将生(おかだ まさき)
1989年生まれ、東京都出身。2006年デビュー。近年の主な出演作は、第94回アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した映画『ドライブ・マイ・カー』、『1秒先の彼』、『ゆとりですがなにか インターナショナル』、『ゴールド・ボーイ』、『ラストマイル』、『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』、『ゆきてかへらぬ』などがある。また、11月21日に細田守監督最新作『果てしなきスカーレット』が公開。初出演となる韓国製作ドラマDisney+オリジナル韓国ドラマ『殺し屋たちの店』シーズン2の配信を控える。

井上:台本を渡してからも、監督補の渡辺直樹さんから「岡田さんが悩んでるらしいよ」っていうことは聞いてたんです。でも撮影する前に話したとして、それから間が開いてしまったらもったいないので、結局、岡田さんに直接会ったのは、撮影が実際にスタートしたタイミングでした。

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