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「これで面白くなかったら俳優の責任」と語るほどの脚本のセンス
—先ほど舞台のお話もありましたが、今後舞台作品に挑戦してみたいという思いはありますか?
水上:目の前にお客さんがいる環境で、演技をしてみたいとは常々思っています。皆さんの感情をダイレクトに感じてみたいですね。
今は映像の仕事が中心なので、今日みたいに取材でライターの方々から感想をもらえるのはすごくモチベーションになります。しかも一日中いろんな質問を受けていると、だんだん頭の中が整理されていくんですよね(笑)。話しながら「あ、俺こんなこと考えてたんだ」って、自分でも新しい発見があったりして。そうやって話しているうちに、『シナントロープ』って本当に語る価値のある作品なんだなって改めて実感しています。

—「語る価値がある」とおっしゃっている『シナントロープ』という作品に出合ったとき、最初にどのような思いを抱かれましたか?
水上:配信作品まで含めるといまは本当に多くのドラマが制作されていますけど、『シナントロープ』は、撮り始める段階で最終回までの脚本が完成していて、これは数あるドラマの中でもかなり珍しいことだと思います。制作陣の本気度が伝わりますし、物語がすでに形になっていることで、俳優としても長期的な視点で演技を組み立てられる。とても大きなことですし、ありがたい環境だと感じています。
全12話を通して脚本を読んで強く感じたのは、そのセンスの高さです。物語の展開も会話のやり取りも、とにかく面白い。セリフもリアルで、登場人物たちが本当に口にしそうな言葉ばかりなんです。もし『シナントロープ』が成功しなかったら、それは俳優の責任かもしれないと思ってしまうほど。こんなことを言って、自分の首をしめるのはよくないですね(笑)。

—脚本を手がけた此元和津也さんは、アニメ『オッドタクシー』でも大きな話題を呼びました。そんな此元さんの作品に出演することに、プレッシャーを感じる部分はありますか?
水上:此元さんが僕の演技についてどう思われているかはわかりませんが、自分としてはプレッシャーはあまり感じていなくて、出演できることがただただ嬉しい。インテリジェンスを感じられるうえにこんなにもクオリティの高い作品に参加できるなんて、なかなかないことだと思うので。