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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

SWALLOWインタビュー 挫折を乗り越えたからこそ、聴く人に寄り添える

2023.5.15

SWALLOW『温室育ち』

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「人と人の価値観の違いに『裏切られた』と感じてしまうか、『そういう人なんだ』と受け止められるかが、愛の正体というか」

―振り返ると、改名があり、休止期間があり、SWALLOWというバンドは様々な経験を経てここまで辿り着いていますよね。中学生の頃に結成されたバンドであるがゆえに、簡単に破綻してしまう可能性もあったと思うし、SWALLOWという存在を10代の輝かしい記憶にして終わらせてしまうことも可能だったと思うんですけど、むしろ泥臭いと言えるような過程を経ながら、SWALLOWは3人でここまで歩んできている。

工藤:そっか……。言われてみればそんな気もするけど、お金がないからバイトをしまくってライブをするみたいな、そういう形の下積みは経験していないし、自分が想像する泥臭さとはやっぱり違うんですよね。私は大学で絵を描いているんですけど、中には絵以外のことにまったく興味がなくて、絵という専門分野以外の美的感覚が欠けている友達とかもいるんですよ(笑)。でも、その子は絵がめちゃくちゃうまいし、絵で生きていきていくために、なりふり構わない。そういう人をいっぱい見てきたし、そういう人たちに憧れている自分もいるんです。だから、「泥臭い」って言ってもらえると嬉しいです(笑)。思いがけない言葉でした。

―種市さんと安部さんは、ここまでSWALLOWを続けてこられたことに対してどのような思いがありますか?

種市:僕は正直なところ、ここまで長く続けてこれるとは思わなかったんですよ。

工藤:へえ。

種市:オーディションに受かって、『ARABAKI ROCK FEST.』に出て……って、よくできすぎているなと思っていたので。ただ、僕はとにかく曲を作ることが好きなんです。それが一番の原動力になってきたなと思います。そもそも、ピアノを弾くのが好きで、家にいればずっとピアノを弾いているような人間だから。

―安部さんはどうですか? No title結成のきっかけは安部さんが工藤さんと種市さんに声をかけたことなんですよね。

安部:そうですね。このバンドをはじめて6、7年くらい経ちますけど、3人のバランスがいいから続いてきたのかなと思います。それぞれお互いにやりたいことや表現したいことはあると思うけど、あくまでもSWALLOWは帆乃佳が表現したいことを表現していくバンドだと思うし、それを僕とポチ(種市)が支えていく、その構図が合っているんだと思う。そこに僕はストレスを感じないんですよね。もちろん帆乃佳が感じていることや歌詞に書いていることは、普段一緒に活動しているので当然わかる部分もあるけど、僕とポチはそこにあまり近寄りすぎない部分もあるし。他のバンドはメンバーチェンジの話があったりしますけど、そういうのを見ると、「なんで、そうなるのかな?」と不思議に感じるくらいなんですよね(笑)。

工藤:うん(笑)。

安部:僕らもこの先どうなるかはわからないけど、とりあえず今は、そんなふうに感じます。

―休止期間を経て、工藤さんにとって曲を作ることはどういうことなのか、改めて見えたことはありましたか?

工藤:自分の考えていることや自分の気持ちって、思っているだけだとふんわりしているけど、それを作品にすることで、自分の中で整理がつくような感覚があるんです。“常葉”は特に、自分自身に処方した薬だと思っていて。曲を作ることは単純に楽しいだけのことではないけれど、でも、そういうものを作っている自分の方が好きだから、曲を作っているような感じがします。それに、音楽でも、絵でも、芸術を作ることのメリットって、辛いことや悲しいこと、自分の狂気じみた部分……そういうところが全部、作品の材料なるところだと思うんですよ。そういう意味では、どんどんと自分のことを肯定できるようになってきている気がしますね。元々、私はそんなに自己肯定感が高いタイプではないけど、段々と「そんな自分が好きだから芸術を作っている」ということを悪いことじゃないと思えるようになってきました。

―“青く短い春”は、フランソワーズ・サガンの小説『悲しみよ こんにちは』にインスピレーションを受けて作られたそうですね。あの作品のどのような点に工藤さんは魅力を感じたのでしょうか?

工藤:たまたまロングセラーと呼ばれるものを読み漁っていた時に、しっくりきたんですよね。私はフランスに行ったことがないので本当のところはわからないですけど、文体から滲み出るフランスの空気感に凄く憧れて。物語自体が思春期の心の変化に付いていけない、手に余っている主人公だったことも大きかったと思います。この曲を書いていたのは、私が17歳の頃だったので。知らないはずなのに知っている、そんな感覚があったんですよね。

―あの作品と自分自身が重なる感覚があったんですね。

工藤:例えば、私たち3人は仲がいいですけど、どれだけ仲が良くても、結局は他人なんですよ。人生は別々だし、自分と全く同じ価値観の人間なんて、この世にただのひとりもいない。そういうことをわかったうえで、人と人の価値観の違いに「裏切られた」と感じてしまうか、「そういう人なんだ」と受け止められるかが、愛の正体というか。愛があるかないかは、そこに出るような気がするんですよね。別にサガンはそういうことを知ったように書いているわけではないけど、染みわたるというか、「似たようなことを、この人は考えているんだろうな」と思うんです、読んでいると。

―ありがとうございます。5月26日にはNiEW主催の無料イベント『exPoP!!!!!』への出演も控えていますが、ライブに対してはどのような思いがありますか?

工藤:コロナなどで中々そういう機会がなかったので、この前ライブハウスで初めて有観客のライブをやらせていただいたんですけど、その1回で、成長に繋がった感じがしたんです。「これがライブね!」って、掴んだ実感があって。ライブをやっていて、初めて水を飲みたいと思ったんですよ(笑)。

『exPoP!!!!! vol.151』は5月26日(金)に入場無料で開催(予約はこちらから

―そっか、本格的な有観客ライブが初めてだったんですね。

工藤:配信ライブで歌ったことはあったんですけど、その時はあまり疲れた感じはしなくて。でも、この間のライブは疲れました。会場にわざわざお金を払って観に来てくれる人は、ただ音楽を聴きに来てくれているだけじゃなくて、会場に私たちの姿を観に来ているし、コミュニケーションを取りに来ているし、その空間のためにお金を払っているということを初めて実感を伴って理解できた感じがして。『exPoP!!!!!』も前に出た時は、お客さんは声が出せなかったですけど、いよいよ本当の姿が戻ってきていると思うので、楽しみにしています。初めての有観客ライブが地元の青森だったので、地元のお客さんと東京のお客さんは違うだろうなという不安もあるんですけど(笑)、でも、できる限りお客さんに楽しんでもらえるよう頑張ります!

SWALLOW『温室育ち』

2023年4月26日(水)発売
LINE RECORDS
[CD] 税込3000円 / LINECD-0001

1.THE ORCHID GREENHOUSE
2.紛い者の万年筆
3.ねがいごと
4.アオゾラ
5.AUREOLIN
6.常葉
7.嵐の女王
8.午睡
9.涙雨
10.⻘く短い春
11.蒼昏
12.ULTRA MARINE
13.田舎者
14.SWALLOW

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LINE MUSICで聴く

NiEW presents 『exPoP!!!!! vol.151』

『exPoP!!!!! vol.151』は5月26日(金)に入場無料で開催

2023年5月26日(金)
会場:Spotify O-nest
時間:OPEN 18:30 / START 19:00
料金:入場無料 (must buy 2Drinks)
配信:https://www.youtube.com/@NiEWJP

出演:幽体コミュニケーションズ、SWALLOW、Wuinguin、Deep Sea Diving Club、天国姑娘

■チケット予約フォーム
※ご予約の無い方は入場できない場合がございます
https://expop.jp/tickets/151

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