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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

OVERCOAT・大丸隆平の現在地。NYの有名ブランドが全幅の信頼を寄せる日本人

2023.5.9

#FASHION

「継承した技術を発展させないと、本質的に次へつながっていかない」

ーニューヨークでさまざまなブランドとお仕事されてきたわけですが、今後はどのような企業やブランドと協業していきたいですか?

大丸:志が似てる人たちと一緒に仕事していきたいです。願わくばその人とたちと新しいカルチャーみたいなものを作っていけたら。一着の洋服からスタートしていますが、次第に文化や思想になって、後世に残って行くと面白いなと思います。

例えば昨今のSDGsはすごく大事なテーマですが、もの作りをする人にとっては当たり前の話で。お母さんが「冷蔵庫の余り物も無駄にしないでご飯作らなきゃだめ」と言う感覚と一緒です。長く着られることや技術の継承は当然で、目の前で作ったものが捨てられたら嫌な気持ちになります。そして、地球はそこまでロジカルじゃないので、SDGsの内容全てを達成しようというのも現実的じゃないですよね。でもそこへ目標を掲げて向かっていくこと自体に意味があります。そういった意味において、上辺だけのSDGsではなく、独自の持続可能性を追求している本質的な企業とは志が似ているという点で、一緒に仕事をしてみたいと思います。

ーその点、貴社は日本の縫製工場とのリレーションを大切にしているそうですね。

大丸:うちの会社は2つの事業を展開していて、大丸製作所2はニューヨークで洋服の製造におけるコンサルティングやパターンメイキング、デザイン企画やサンプル製作などの受託事業を行っています。一方、OVERCOATはD2C事業で、ニューヨークで企画デザインしたものを日本で量産して販売しています。

テーラリングでもMADE IN ITALYやイギリスのサヴィル・ロウの服作りはそれぞれ違っているように、うちの場合は日本の服作りのやり方を継承しています。独学だと言われますが、少なくとも本の著者がいて、その人の知識や歴史を踏襲しています。そしてそれを次につなげていくのが自分の役目だとも思っています。よく技術継承の話が出てきますが、継承するだけでなく、発展させないと本質的には次につながっていかない。そのうえでOVERCOATでは、MADE INではなく敢えて「MADE BY JAPAN」と謳い、技術を継承し発展させるもの作りを追求したいと思っています。

ーほかの日本のドメスティックブランドでも「MADE BY JAPAN」と謳えるブランドはありそうですが、その点におけるOVERCOATの特徴はなんでしょう。

大丸:洋服は西洋から来たカルチャーで、西洋人が作った歴史を日本人はどこかズレて解釈していると思っています。それは逆も然り。例えばイギリス人が京都で着付けを習って着物を自分で実際に着る時のバランスや色・柄合わせの違いであったり、メトロポリタン美術館で尾形光琳の絵が蛍光灯の下に飾ってあったり。つまりはどんなに手順に従って忠実に再現しようとしても、元々の文化が違うとアウトプットに少し違和感が生じるように感じます。OVERCOATの場合は、日本の縫製技術を用い、ニューヨークのカルチャーを基点に服作りをしている部分に、文化的なズレから自然に生まれる個性や発展性が宿るように思います。

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