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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

石若駿×馬場智章対談 少年時代からの盟友が、互いの軌跡を振り返る

2024.9.18

#MUSIC

次世代のために、シーンに還元できることを考えていきたい

石若:秀逸ですよ、このアルバム。めっちゃ良かった。

馬場:ありがとう(照れ笑い)。

石若:1曲の中にいろんな空間があるというか、いろんな場所で音が鳴ってて、いろんな景色が見えてくる。聴いててトリップできる。少年時代にリアルタイムに新譜ジャズを聴いて「かっこいい!」と思った時の衝撃が蘇りました。

馬場:日本に戻って4年くらい経ちますが、これまで僕がやったことのないような大きな会場、大きなスピーカーで演奏する機会が増えてきて、こういう場所で観客をのせるには、どんなサウンドにしたらいいんだろ?と考えるようになったんです。ルイス・コールのビッグバンドに参加したことも大きかったですね。ルイス・コールのライブで演奏してみて、「こういうスタイルやったら、オーディエンスはガンガンのってくるのか」という発見があった。インストで観客をのせるには、どこでローを出して、どこで引いて、どこでブレイクを作るのか。シンセはどんな風にかぶせたらいいのか。そういった曲の構成に対する考え方はDJに近いと思います。

石若:こんなサウンド、世界中探してもないと思うよ。テナーサックス奏者がリーダーで作ったアルバムなのに、こんな音像、今までなかったんじゃない?

ーいつの間にか、ジャズという音楽のイメージが固まってしまいましたが、本来はモダンで刺激的なダンスミュージックですよね。もしかしたら、ビバップが初めて出た時も新しい音楽として世の中に衝撃を与えたんじゃないかと思います。

石若:そうですよね。このアルバム(『ELECTRIC RIDER』)の衝撃はそれに近いと思う。

馬場:アンリメの新作は東京のカオスなところがすごく出てると思う。東京で活動してきた駿だからこそ作れた音楽。こういう音楽をやっているミュージシャンはニューヨークにはいないし、どんなジャンルのミュージシャンが聴いても面白いアルバムだと思う。

左:馬場智章『ELECTRIC RIDER』 右:Answer to Remember『Answer to Remember II』

ー近年、アメリカの西海岸やロンドンで、ジャズを様々な音楽と融合させた個性的なミュージシャンが次々と登場していますが、お2人の新作を聴くと東京のジャズシーンも刺激的なものになっていることがわかりますね。

石若:今まで僕らがやってきたことが間違ってなかったって感じますね。今年、この2枚のアルバムが出せたこと。仲間たちと一緒にアルバムを作れたことというのは。次世代に繋がっていくと思うんですよ。そこで大事なのは、「じゃあ、次はどんな作品を作ろう」としっかり考えて、面白い作品を出し続けることだと思いますね。

馬場:『BLUE GIANT』が公開されて、ジャズが注目をされている今の状況を大切にしてないといけないと思いますね。そして、日本の才能あるジャズミュージシャンを、どんどん海外に紹介したい。そのためには、それぞれのミュージシャンが、これからクオリティの高い作品やパフォーマンスを提供できるように意識していかないといけなし、若い才能を伸ばしていく環境を作って行く必要がある。国に働きかけて助成金を出してもらったり、僕らがジャズスクールみたいなところで教えるのもいいかもしれない。僕らはそういうことを考えないといけない年齢になってきたな、と思っているんです。

ーという話を2人で飲みながらしているわけですね(笑)。

馬場:そうです(笑)。思えば10年前くらいに初めて上原ひろみさんをお見かけして「うわ、本物や!」と思った時、ひろみさんは今の僕らと同じくらいの歳だったと思うんですよ。だから今、こうやってアルバムを出させてもらっている僕らが、今後どんなことをしていくのかが重要だと思っています。そして、今は自分の活動で手一杯ですけど、これからは自分がシーンに還元できることも考えていかないといけない。

石若:ほんとそうだよ。いやあ、今日は泣きそうになる瞬間が多いな(笑)。

馬場:駿と一緒に、こんな風に酒飲みながらインタビューを受ける日が来るとは思ってなかったもんな。思ってた?

石若:いやいや思ってなかった。あと50年くらい、この最強に熱い感じで行こうよ!

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