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石若駿×馬場智章対談 少年時代からの盟友が、互いの軌跡を振り返る

2024.9.18

#MUSIC

ライブができないコロナ禍が、2人にもたらした影響。トッププレイヤー×テクノロジーの化学反応

ーやがて、東京の新世代ジャズシーンが注目を集めるようになるなかで、馬場さんが帰国して日本で活動するようになる。石若さんと馬場さんが演奏で共演したアニメ映画『BLUE GIANT』は、ジャズシーンの盛り上がりを象徴する作品でもありました。そして、今度は2人が同時期に新作をリリースしましたが、どちらも従来のジャズのイメージを打ち破った斬新な作品に仕上がっていますね。石若さんが率いるユニット、Answer to Rememberの『Answer to Remember II』には多彩なメンツに混じって馬場さんも参加しています。

馬場:アンリメの音楽は、まさに駿!っていう感じですね。僕が参加した曲“札幌沖縄”なんて特にそう。コードとかメロディーの作り方が駿っぽいんです。昔と違うのはサウンドの作り方で、以前はジャズのフォーマットに落とし込んでいたけど、今回はどんな音を足して、どんな音を引くのか、曲の長さをどうするのかとか、ジャズの良さを残しながらもプロダクションが細かく作り込まれている。それってトラックメイカーとかポップスの作り方からの影響だと思うし、これまで駿がいろんなジャンルで活躍してきたからこそ身についたことだと思います。

ージャズといえば生演奏や即興のイメージが強いですが、『Answer to Remember II』はセッションをベースにしながら緻密な音作りで現代的なサウンドに落とし込んでいます。

石若:例えばドラムに関して言うと、あまりにも1曲の音数が多いので生のドラムだけだと支えきれないんです。そこで、生で録ったドラムに打ち込みを追従させていく。そんな風にテクノロジーを駆使するというのは前作ではやってなかったことですね。前作を発表して以降、コロナ禍になってライブがストップしてしまって、レコーディングの現場が多くなった。それでテクノロジーに関する知識を身につけて、それを今回のアルバムで試すことができました。

馬場:駿はドラマーなんですけど曲の全体を見ている。プレイヤーとしての視点、作曲家の視点、そして、プロデューサーの視点も持っているんです。そういう人って意外と少なくて。ドラマーがこういうアルバムを出す、というのはすごく意味があると思います。

ー確かにドラマーのアルバムとは思えないですよね。一方、馬場さんの新作『ELECTRIC RIDER』も斬新なサウンドになっていますね。

馬場:今回は「いわゆる“ジャズ”アルバムは作らない」という気持ちで挑みました。僕も駿と同じで、コロナ禍でライブがストップしている間にテクノロジーに向き合っていて、パソコンを新調してAbletonという音楽制作ソフトを買い、独学でコンピュータを使った曲作りを始めました。それで1週間に1曲、できた曲をInstagramにあげてたんです。

馬場:それをBIGYUKIが聴いてくれていて、NYで一緒にバーベキューをした時、「インスタの曲、聴いたで。あれ、ええやん」って言ってくれた。YUKI君とは僕が15歳の頃に知り合って、後にNYで遊んだりしていました。元々YUKI君の音楽のファンで、ずっと一緒にやってみたいと思っていましたが、新作が出せると決まった時に、YUKI君に声をかけてプロデューサーとして入ってもらいました。シンセを使ったり、オーバーダブをしたりするのなら、僕一人の想像力では難しいと思ったし、YUKI君の音楽性と僕の音楽が合わさったら面白いかなと。そして、これまで僕が作ってきたようなアルバムーーアコースティックな演奏でソロを回して、みたいなアルバムではなく、サウンドやプロダクションをしっかり作り込んだ作品にしたい、という話をYUKI君としました。

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