INDEX
作品の出発点「世界の魔法」に気づく方法。「景色がきれいだなと思ったら、その景色に向かって『なんできれいなんですか?』って」(三船)
ーそんな「世界の魔法」をそれぞれの視点を通して映し出しているのがお二人の作品なんですね。お二人はそういった自分しか気づけないことを見つける視点をどのように培ったのでしょうか。
吉祥丸:すこしでも気になったことがあれば、一歩踏み込んでみること。お店でおいしいものを食べたときに、ただ「おいしい」で終わるのではなくて、大将に「これどうやってつくっているのですか?」と聞いてみるとか。そんなことが気づきを得る小さな一歩になる。きっかけはそこら中にあるので、気を張らずに問いかける癖をつけていく。何かの詩みたいですが、「この世界に耳を傾ける」ということなのではないかと思います。
三船:でもけっこう真面目にそれかも。いかにふだん気づけないところに目を向けられるか。そしてそこに惹かれた理由も問い続ける。景色がきれいだなと思ったら、その景色に意識を向けて「なんできれいなんですか?」って聞く感覚。

吉祥丸:おそろいのカメラも、自転車で走っているときに三船さんを見つけられたのも、偶然のようでなるべくしてそうなっていたのかもしれません。気づくことができなければずっと知らないままですから。今日話していても、きっと出会うべくして出会ったんだな、と思います。
ーたしかに、示し合わせたようにカメラがおそろいだったことも、昨日のカフェでの出会いも魔法のような偶然でしたね。
三船:本当にそうですね。あとたいせつなのは、やっぱりオープンマインドかな。世の中のありのままを受け入れる心のスペースを空けておくと、いろんなことに気づけるようになる。世界の魔法に気づいたら、あとは動いてみればいい。そうすればだんだんと写真を撮るときに光や人の動きに敏感になったり、16人編成のバンドでも一音一音聴き取れるようになったり、自分でもいまだに不思議なんですけど、自然にできるようになっていくと思います。
吉祥丸:結局、何かものをつくる源流はそこにあるのかもしれません。自分という媒介者を通して、自分が気付いたほんの些細なことを世の中に知ってもらうような。
