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石若駿は止まらない。なぜ挑戦を続けられるのか、そのメンタリティに迫る

2023.10.13

#MUSIC

photo by Tomoya Miura
photo by Mahaya Takara

声を上げることの大切さに気づいたSMTKでの活動。そして「日本のジャズ」を背負っていく使命感

─様々な現場でチャレンジを続けてきている石若さんの活動の中で、ひときわ異彩を放つSMTKについて伺えればと思うのですが、バンド結成は2018年頃ですよね?

石若:そうですね。インプロヴィゼーション色の強いオリジナルをやるバンドを作りたくなって、しかもギタートリオがいいなと思った時に、同い年の徳ちゃん(細井徳太郎)の顔が浮かんで。彼が新宿のPIT INNでバイトをしていた頃に出会ったんですけど、青春時代に聴いてきた音楽がすごく近くて。Radioheadから富樫雅彦さんや菊地雅章さんの話まで一緒に盛り上がれる存在はなかなかいない。「この人と一緒に音楽をやったら、一体どんな景色が見られるんだろう」と、すごくワクワクしましたね。

で、トリオをやるならベースはマーティ(Marty Holoubek)だなと。彼は2018年にオーストラリアから日本へ移住してくるのですが、その前からよく一緒に演奏していたんです。彼が日本を好きになり、成田に到着したその日に徳ちゃんとマーティと「ogikubo velvetsun」でライブをやったんですけど、その時はいろんな思いが高まり、とても思い出深い演奏が出来たんですよね。

SMTK(左から石若駿、細井徳太郎、マーティ・ホロベック、松丸契)
photo by kana tarumi

─SMTKに最後に加入したのは松丸契さんですね。

石若:(松丸)契はアメリカから日本に拠点を移す投稿をしていたときに、彼率いるバークリーでのトリオの動画を上げていたんです。それを見て「凄い!」と思い、全く面識もなく、すぐにDMをしました。「石若駿といいます。今度、僕がやっているSMTのライブにゲストで出てくれませんか?」って。

最初に音を合わせたのはその前の日野皓正さんのライブで、マーティも契も飛び入りして一緒に演奏して、「これは面白くなるぞ」と確信しました。今となっては人間的にもすごく距離感の近い存在の3人ですね。ライブが終わってから家に遊びに行ったり、来たり、休みになれば急に連絡して集まって一緒にご飯を食べて気づけば梯子しまくれる関係というか。

─石若さんは以前のインタビューで、「(松丸は)ジャズという音楽をやる身として、社会に対するメッセージを当たり前のように持っていて、自分の考え方がしっかりある」「マーティ・ホロベックもそういったことに気づかせてくれる存在」とおっしゃっていました。

石若:人間生きていれば、何か腑に落ちないことや、考えなければならないことに直面しますよね。社会的な問題に対して確固たるスタンスがあり、それを発言なり作品に昇華している人が、一部の先輩方を除いて、ともかく同世代では周りにそれほどいなかったんです。でも、海外を見渡すと同世代のジャズミュージシャンも当たり前にやっているし、契もそれが当たり前な人だと思うんですよね。

彼はずっと海外で暮らしていたので、世界の見え方が我々とはちょっと違うところがある。例えば日本だと、「ん?」と思っても「なあなあ」になってしまうことって多いと思うんですよ。見て見ぬふりをしたり有耶無耶にしたり。でも契は「これはどうなっているんだ」「あれはどうなんだ」といつも立ち止まって考えている。そういう姿勢にはすごく刺激を受けています。

photo by Mahaya Takara

─石若さんは、今どんなことに関心を抱いていますか?

石若:俺たちは何をしたくて、何を成し遂げたいと思っているのか。自分のバックグラウドであるジャズという音楽を背負って、どう作品に落とし込むのか。それを考えなければいけない立場にいること、責任があることは自覚しています。結局のところ、音楽のことばかり考えてしまいますね。

あとはここ最近、さまざまな価値観が変化して、昔は有耶無耶にされていたことが明るみになることが多いじゃないですか。僕自身もそこにちゃんと向き合い、「違うな」と思ったことに対しては、ちゃんと立ち向かっていくスタンスでいようと思うようになったと思います。そういう意味ではここ最近、物申すことが増えてきたんです。「これは違う」と気づいたら、ちゃんとその気持ちを確認しにいくことが増えてきたなって。30歳を超えて、この気持ちはますますの人生の年輪だなと思いました(笑)。

─石若さんのような立場にいる人が、ちゃんと声を上げることの意味は大きいと思います。他の人だと潰されてしまうような意見でも、石若さんが口にすることで改善されることも多いのではないかなと。

石若:そうですかね。気を引き締めて参ります。

photo by Syuya Aoki

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