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賞金欲しさに作家の道へ
タカノ:でも、音楽家も小説家もどっちも狭き門じゃないですか。今は小説家として活躍されてますから、すごいですよね。元々ミステリー作品を書こうとして始めたんですか?
佐藤:最初はそういうジャンル分けすら全く知らなかったので。本格的にプロを目指そうと思ったのは、ミステリーの新人賞の賞金がズバ抜けて高いと知ってからなんですね。
Celeina:やっぱりビジネスマンですね(笑)。
佐藤:純文学の賞は、すごく有名な賞を受賞しても100万円ぐらいなんですよ。でもミステリーの新人賞は、僕がデビューした『このミステリーがすごい!』大賞だと1,200万円で、あとは『江戸川乱歩賞』が1,000万円(2022年から500万円)みたいな感じで。
タカノ:『このミステリーがすごい!』大賞って、そんなにもらえるんですか?
佐藤:そうなんですよ。だから締切を破ってしまいそうなときは「1,200万、1,200万……」って、ずっと頭の中で唱えながら書いてましたね(笑)。
タカノ:そして(2009年に)第9回『このミステリーがすごい!』大賞の優秀賞を受賞されて。
佐藤:優秀賞だったから結局1,200万はもらえなかったんですよ。
タカノ:でも、すごく輝かしい実績ですよ。
Celeina:小説を書き始めてから小説家としてデビューされるまでの道のりは、どれぐらいかかったんですか?
佐藤:個人的にはしんどかったですけれども、5年ぐらいなので順調な方じゃないかなとは思います。
タカノ:『ハンチバック』の市川沙央さんも20年書いてデビューという話でしたからね。でも5年も結構しんどいですよね。
Celeina:そのときのモチベーションはどうやってキープしていたんですか? 先ほどもお金の話はしてましたけど。
佐藤:お金ですよ(笑)。でも、それまで音楽をやってて、音楽が駄目そうだから小説家を目指すって、その話だけ聞いたらめちゃくちゃ駄目人間じゃないですか。
タカノ:駄目人間というか、どっちも難しいイメージはありますね。
佐藤:30歳に近くなってて、音楽で挫折していたから、次は何としても結果を出したいっていうのはモチベーションになりましたね。