グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
7月18日は、現役大学院生の書評家、あわいゆきさんが出演。書評家になったきっかけや、芥川賞・直木賞の受賞予想、アイドルにハマったきっかけなどについて伺いました。
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Twitterでの本の感想や考察のつぶやきから書評家へ
Celeina(MC):まず、プロフィールをご紹介させていただきます。あわいゆきさんは、2000 年生まれ。現在は都内の大学院で芸術学を専攻されています。国内最新の純文学、大衆文学、SF、ミステリ、ライトノベル、児童小説を中心に幅広く読まれていて、書評や、芥川賞、直木賞をはじめとする文学賞に関連した記事を、連載や SNSを通じて発信されています。
タカノ(MC):文学部じゃないんですか?
あわい:やってることは文学部に近いんですけど、その中でも「芸術学」っていうだけあって、創作方面もやっていたり、逆に批評も学んだり。文学部よりも割と幅広いんじゃないかなと思います。
タカノ:Twitterやnoteも拝見させてもらいました。考察が、すごい深いんですよ。
Celeina:書評を書かれるようになったきっかけは何だったんですか?
あわい:元々は、本を読む上でアウトプットする場が欲しいなと思って、Twitterで本の感想や考察をつぶやくようになって。そうしたら出版社の方に声をかけていただいて、いろいろ書くようになったという流れですね。
タカノ:すごい。そんなパターンがあるんですね。
あわい:ありがたい話です。
タカノ:小さい頃から本は好きだった?
あわい:幼少期から割と小説は読んでいて、途中、読まなくなった時期とかも挟みながら、今の大学を選んで、たくさん読むようにしました。
Celeina:大学生になってから、本を大量に読むようになったんですか?
あわい:中学の頃は、あまり読んでいなくて、高校の途中からたくさん読むようになった感じです。
Celeina:きっかけは何だったんですか? 私、大人になってからは本が好きなんですけど、学生時代はなかなかハマらなくて。
あわい:かなり不純な動機で。授業中に、何をやろう? ってなったときに、本を読もうと。そこから地続きで、今につながる感じですね。
タカノ:授業中に! でも今は、書評家として活躍されてますから。何がきっかけになるかわからないですね。
あわい:本当に、そうですね。
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競馬からの芥川賞、直木賞の受賞予想
タカノ:そして、あわいさん。芥川賞、直木賞の選考会がいよいよ明日。受賞予想も、投稿されてますけれども。
あわい:そうですね。
タカノ:なんか、ルーツが競馬と聞いたんですが、どういうことなんですか?
あわい:父親がすごく競馬が好きで、自分も中学の頃、お金は一切かけてないんですけど、何が1着に来るか予想するようになったんですよね。
タカノ:そんな楽しみ方があるんだ。
あわい:単純に、予想するプロセスがすごく面白くて。血統とかラップタイムとか騎手とか馬場の状態とか、いろんな要素を取り入れて、何が来るか当てる思考のプロセスが好きで、だから、お金が増えようと減ろうと興味がなく。
タカノ:面白い。予想、問題の解決が好きって。
あわい:それは、あるかもしれないですね。
タカノ:ちなみに、競馬は当たりますか?
あわい:今は離れちゃったので多分、難しいんですけど、昔はかなり。大事なのって的中率より回収率で例えば何円かけたら何円戻ってくるかという指標が大事なので。的中率自体は低かったんですけど、穴馬みたいなものを、一定のペースで当てることは割と出来てたと思います。
タカノ:馬券を買っとけば、みたいな後悔はない?
あわい:ないですね。
タカノ:だから、プロセス自体を楽しんでるって感じなんですね。明日の芥川賞、直木賞の受賞作予想は、あわいさん的にはどうですか?
あわい:はい。芥川賞は乗代雄介さんの『それは誠』を。
タカノ:乗代さん、4回目でしたっけ?
あわい:芥川賞の候補になるのは、今回が4回目ですね。
タカノ:そろそろ取ってほしいという乗代さんファンの方も多いと思うんですよね。
あわい:多いと思います。すごい人気の方なんですけど、選考委員の方々からの評価は乏しいみたいな感じで受賞を逃し続けているので。今回の『それは誠』って、修学旅行に出かけた高校生たちが、そこで友情を育む群像劇になっていて。それを振り返る形で語り手の「僕」がパソコンに打ち込んでいくものを、我々が読まされているという形なんですけど。
タカノ:うん。
あわい:打ち込んで、記録を残していく中に、語り手の僕にとって、この修学旅行がどれだけかけがえのない思い出になったかみたいなものが凝縮されてて、あらゆる描写に感動間違いなしですね。
Celeina:気になる!
タカノ:直木賞はどうでしょう。
あわい:直木賞は今回かなり混戦だなと思うんですけど、個人的な推しが冲方丁(うぶかた とう)さんの『骨灰』という作品です。冲方丁さんはSF出身で、そこから、時代小説とかミステリ小説とかいろいろ書かれていて。今回は、初めてのホラー小説なんですけど、地下に人骨が埋まっているという噂を聞いて、掘り出しに行った工事現場の人が、地下に封印されていた災いを解き放っちゃって、「骨灰」っていうすごい厄災に取り憑かれてしまうっていうお話です。語り手が取り憑かれたことによって、非合理なことに自己正当化を図って、理屈で納得させようとしちゃうんですね。読者からすれば、それはおかしいだろ! ってツッコミを入れたくなるんです。
タカノ:うん。
あわい:語り手は、無理やり納得させて物語が進んでいっちゃうから、そこが面白いというか怖い。楽しく読めますね。
タカノ:明日の発表、楽しみですね。
Celeina:『それは誠』『骨灰』両方、買って帰ろうかな。
タカノ:さあ、ここで、あわいさんにこの時間にラジオでみんなで一緒に聴きたい曲を選んでもらったんですが、どんな曲でしょうか?
あわい:ここまで読書と競馬の話をしてきたんですけど、最近、アイドルさんのライブにも行くようになって。
Celeina:新しい要素。
あわい:いろいろなアイドルさんを見に行っているんですけど、その中で一番応援しているのが、FRUITS ZIPPERの真中まなさんっていう方で。FRUITS ZIPPERってアイドルグループは、昨年TikTokで“わたしの一番かわいいところ”っていう曲がブレイクして、結成1年でトントン拍子に駆け上がって、もうアリーナ公演も決まってるみたいなすごいグループなんですけど。最近、 “超めでたいソング ~こんなに幸せでいいのかな?~”っていう曲のMVが公開されたんですけど、すごい幸せに満ちた曲で、FRUITS ZIPPERっていうグループの勢い自体も象徴しているような明るい曲なので、いろんな方に聴いていただけたらなと思い、選曲させて頂きました。
Celeina:それでは、聴いてみましょう。