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30歳になったマカロニえんぴつ・はっとり。「自分がエキサイトできる表現をやりたい」

2023.7.12

#MOVIE

憧れの奥田民生とは異なる「暑苦しい」30代を目指して。「自分がエキサイトできることであれば、いろんな表現をやってみたい」

ー今回演技に挑戦したように、今後はっとりさん個人としてあらためて漫画やイラストを描いたり、あるいは映像をプロデュースしたり、視覚的な表現をすることに興味はありますか?

はっとり:頼まれたいです。すげえむちゃな締め切りを言われたい(笑)。「ここで決まりましたから」って言われたらやるじゃないですか。そのほうが楽です。「なにかやりたいことありますか?」だと「いや、俺なんか……」になっちゃうけど、今回みたいに「やってください」って言われたら、「そう言ってもらえるなら」になる。だから、頼まれ仕事のほうがやりやすいですね。

ー活字の仕事よりも視覚的な仕事のほうがいいですか? それこそ「小説かエッセイを書いてください」みたいなことを頼まれたら?

はっとり:小説はちょっと自信ないな。途中で音を上げそうです。短編だったらまだ頑張れるかなと思うけど。

ー最初にリリーさんの話をしたように、活字だとロジカルに自分と向き合う作業になるけど、視覚的な表現の場合は「どうなるだろう?」って、自分も楽しませることができる。その違いがあるのかもしれないですね。

はっとり:今年出たアニバーサリーブック(『マカロニえんぴつ 10th ANNIVERSARY BOOK -マカロニくろにくる-』)で「4コマを描いてくれ」って頼まれて、ひさびさに描いてみようかなと思って、いざやったらすげえ楽しかったんですよね。だから、どっちかというと絵を描いたりとか、映像的なもののほうが自信はありますね。

ー6月29日で30歳という区切りの年齢を迎えるわけですが(取材は6月15日)、音楽以外のことで、「30代はこんなことをしてみたい」と思うことはありますか?

はっとり:そうですね……やっぱり奥田民生さんは常に憧れの人なんですけど、民生さんは『29』と『30』っていうアルバムを出してるんですよね。ソロになって、民生さんにとっては第2のミュージシャン人生の始まりだったと思うんですけど、ちょうど同じ年齢にいま自分もいると。

で、民生さんの場合はどんどんどんどんゆるくなっていって、それを確立したというか、民生さんの宇宙としてそれをどんどん広げていった。あのゆるさは民生さんの美学で、『29』や『30』のあたりからそれを作り上げていったんですよ。でも僕はあれは真似できないので、同じこの節目で……もっと暑苦しくなっていきたいなと思います。

ーここに来て違う道へ行くと。

はっとり:俺暑苦しいほうが向いてることに最近気づいて、そこでのギャップがあるというか、なんで民生さんに憧れたのかっていうのも、自分と違うからだったんだろうなと思ったんですよ。

人って自分に似てる人は求めてなくて、違うものに魅力を感じますよね。最初はそこを勘違いしてたというか、人格的なところまで民生さんに近づきたいと思ってたんですけど、これはそもそも違うぞと。自分はもっともっと暑苦しくなっていくのが向いてそうな気がする。若者に嫌われない程度にね(笑)。

ー老害と言われないように(笑)。

はっとり:凝り固まって、むさ苦しくなるのとは違うっていうか、より馬鹿正直にやっていった方がいいなって。偏屈な性質は引き続きある程度持ちながら……そこは別にブラッシュアップしていきたくはないけど(笑)。僕はお婆ちゃん子で、偏屈さはお婆ちゃん由来だと思っていて、そこは自分の好きな部分でもあるんです。「歳をとると情熱を失っていく」みたいな話を周りから聞いたり感じたりもするので、そうならないようにっていう感じですかね。

ーそういう意味では音楽はもちろん、演技やそれ以外のことも含めて、アウトプットを増やしてみるのはいいかもしれないですね。

はっとり:やってみるのはね、いいと思うんですよ。時代的にも、ミュージシャンがいろんなことに手を出しても、ファンがブーブー言うような時代でももうないような気もするし、みんなそういう生き方をしてますからね。いろいろ試して、なにをしてるときの自分が好きかなっていう、それは1個じゃなくてもいいと思うんです。「これをやってるときの自分だけが自分だと思わなくていい」っていうのは強く感じますね。

僕は音楽をやってるときの自分が大好きだけど、もっと好きな瞬間が他のことをやってるときに訪れるかもしれないわけで、それを試さないのは損だなと思います。もしそういうことがやれる環境にあるならやったほうがいいなと思うし、それによって自分以外の人が1人でも喜ぶのであれば、それはやりたいですね。ただ前提として、絶対自分が楽しいことをしたい。自分がエキサイトできる表現であればぜひやりたいです。

『アイスクリームフィーバー』

2023年7月14日(金)全国公開
監督:千原徹也
原案:川上未映子「アイスクリーム熱」(『愛の夢とか』講談社文庫)
主題歌:吉澤嘉代子「氷菓子」
脚本:清水匡
音楽:田中知之
出演:吉岡里帆
モトーラ世理奈 詩羽(水曜日のカンパネラ)
安達祐実 南琴奈 後藤淳平(ジャルジャル) はっとり(マカロニえんぴつ) コムアイ
新井郁 もも(チャラン・ポ・ランタン) 藤原麻里菜 ナツ・サマー
MEGUMI 片桐はいり / 松本まりか
https://icecreamfever-movie.com/

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