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『ザ・フラッシュ』がDCユニバースにもたらす自由
冒頭でも述べたとおり、本作は、DCスタジオのCEOジェームズ・ガン&ピーター・サフランによるDCユニバース構想の序章に位置づけられた作品だ。2013年から始まったDCエクステンデッド・ユニバースは、2023年12月米国公開予定の『アクアマン・アンド・ザ・ロスト・キングダム(原題)』をもって終了し、その一部はDCユニバースへとリブートされる。そして、新しく始まるDCユニバースでは、映画とアニメ、ゲームといったDCコミックの映像作品が再構築され、共に絡み合うのだそうだ。

その第1章として、2024年のアニメ『クリーチャー・コマンドーズ』、2025年7月上映の『スーパーマン:レガシー』など、今後10作以上の映画、テレビシリーズが予定されている。既に『スーパーマン:レガシー』では、スーパーマン/クラーク・ケント役にデヴィッド・コレンスウェットが、ロイス・レイン役としてレイチェル・ブロズナハンが発表された。 今後、DCユニバースはどのように展開するのだろうか。一つ言えるのは、『ザ・フラッシュ』とスパゲティの比喩で説明されたマルチバースが、DCスタジオに自由をもたらしたということだ。劇中で、年老いたバットマンが登場したように、これからの映像作品では、過去の作品にとらわれず、あるいはそれらを参照しながら、新しいスーパーヒーローとユニバースを自由に構築できる。そして、再構築されたユニバースは、本作で提示されたマルチバースの設定によって裏付けされる。ジェームズ・ガンが言うように、まさに『ザ・フラッシュ』は「すべてをリセット」したのだ。