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「日本の文化を理解すればするほど日本の音楽の良さに気づいていく」
─そのサマースクールの後、日本にも立ち寄ったとか。
JU!iE:そうです。その時にジャズシンガーakikoさんのライブに潜り込んだんです(笑)。その時のライブの華やかな雰囲気は、今でも忘れません。バークリーのジャズは「dissonance」(不協和音)を求めてるというか、単に心地いい音色や「ここで解決しよう」という傾向をあえて崩したり、ハーモニーだけでなく楽曲の構成や楽器の組み合わせ方もどこかdissonanceなんですが、日本の音楽は、アグレッシブな要素ももちろんありますが、多くは調和・優しい響きを求めているように感じます。
─当時はジャズだけでなく、2000年代の日本のポップミュージック、例えば椎名林檎や宇多田ヒカルもよく聴いていたそうですね。どんなところに魅力を感じていたのでしょうか。
JU!iE:日本人の国民性や価値観から来ていると思うのですが、日本の音楽は音数が多くて、フリークエンシー(周波数)帯域が全体的に高いですよね。その良さにすぐには気づけなかったのですが、日本に暮らし始めて、日本の文化を理解すればするほど日本の音楽の良さも理解できるようになっていきました。歌詞ももちろん、サウンドデザインの部分は特にそう思います。

─とても興味深いです。確かに、音楽だけでなく伝統工芸にしても精密機械にしても、あるいはフィギュアやジオラマにしても、日本人は箱庭的というか幕の内弁当的というか、細かく整然と配置していくのが得意だし好きですよね。
JU!iE:そうそう! とにかく独特だなと思います。
─では、中国の音楽シーンは今どんな状況ですか?
JU!iE:自分は今中国で活動してないから正確には言えませんが、最近は韓国や日本、アメリカやヨーロッパなど様々な国の文化を吸収しながら、急成長を遂げているように思います。国内に大きな音楽フェスが誕生したり、少しずつですがインディミュージックも増えてきているので、いろんな音楽ジャンルがもっと広がればいいなぁと思います。もし中国で音楽活動が出来る機会があれば、私もインディペンデントなシーンで活動しているミュージシャンたちと親交を深めることができたらいいなと思っていますね。
