メインコンテンツまでスキップ
NEWS EVENT SPECIAL SERIES

グラミー、スーパーボウル、ガガ来日。「移民と多文化」で振り返る1〜2月の音楽シーン

2026.2.18

#MUSIC

アジアの音楽がバッド・バニーのように評価される日は来るか

—最後に、いろいろな形で政治が音楽に影を落とす中、日本も昨今ピリピリしているかと思うんですが、今の状況に思うことがあれば教えてください。

つやちゃん:自分は今回バッド・バニーがああいう形で評価されたり、歓声を受けてるのを見ながら、グラミーのような場でバッド・バニーほどにアジアの音楽がフォーカスされる時代って来るのかな? とぼんやり考えていました。K-POPだったり、アジアのグローバルポップはどんどん海外で聴かれていっているけど、ああいう場での評価というのは、セールス的なものとはまた違う文脈があったりするじゃないですか。

バッド・バニーがやっていることって、自国のルーツや、プエルトリコの歴史を自分の音楽とつなげていかに表現していくかということであって、そこが可視化されて評価されていると思うんです。K-POPや日本のポップが、それと全く同じようにやっていくのは難しいかもしれないですけど、なにかまた違うアプローチで、自国の文化をもう少しわかりやすく翻訳できるような形で表現していけたら、ああいった場で評価されるときも来るのかな、と思います。それは単純に「社会的なメッセージを込めていこう」みたいな話とも違って。アジア、韓国なり日本なりの、ああいった場でのポップのあり方みたいなものをどう社会と絡めて表現していくかというのは、まだ自分の中であんまり答えがないというか、そこをぐるぐる考えたグラミーでしたね。

セメント:バッド・バニーは、その音楽がもうすでにカリブ海地域の歴史を背負っていて、ビジュアルイメージもプエルトリコの歴史を表現することで、植民地主義の歴史を発信することになる、っていう、そこのつながりがすごくシンプルで、見ていてスッと入ってくる明快さがあると思うんですね。一方、戦後の日本がそういう政治的な曲をそういう明快さで発信できるのかっていうと、ちょっとわからないところがありますね。メッセージをどうやって作品の文法の中に溶け込ませた上で、ガガとかバッド・バニーみたいに誰もが見てスッとわかりやすい形にできるのかというのは、すごく難題だろうなと思います。

僕が最近聴いた中で一番政治的だと思ったのは、坂本慎太郎の『ヤッホー』なんですけど、あれは、日本の今の東京での生活の感覚というのを手放さないまま、その感覚の延長線上で響く言葉の中に政治的なもの——今の社会と何か切り結べるようなポイントを探しているような感覚が、すごくあったんですね。でもそれって、けっこうインディ的なアプローチであって、ポップス的な明快さとはちょっと違う位相にあると思うんですよ。ただ、それがすごく海外でも受けているっていうのは、何か可能性を感じるところがあって。日本の政治的な音楽みたいなものが海外に届くことがあったら、今のところ、ポップスター的な形では無いのかなっていうのは、感じたりしました。

NiEW掲載の坂本慎太郎インタビュー記事:坂本慎太郎の言葉選びの変化、不穏な世相の関係——「傍観者っぽいのは何となくダサい」

泡沫:1960〜70年代には、“イムジン河”とか政治的なフォークソングが若者の間で流行った時代もあったわけだから、そういうのがポップとして扱われるかどうかというのは、社会の空気というのがすごく関係あるんでしょうね。

セメント:それはすごくあると思います。そういう言葉を受け入れられる社会なのか、そういう言葉が有効に、口に出して歌ったときに腑に落ちるように響くのか、というのが、すごくあると思うんですよね。

—なるほど。日本のアーティストだとポップスという形ではまだあまり見られていないけれど、インディーシーンから世界に発信されたものが逆輸入されるような形で、これから何かあったりするのかもしれないなというのは、いまお話を伺っていて思いました。次回は、1〜2月の注目リリースタイトルについて伺おうと思います。ありがとうございました。

バッド・バニー『DeBÍ TiRAR MaS FOToS』

配信中

1. NUEVAYoL
2. VOY A LLeVARTE PA PR
3. BAILE INoLVIDABLE
4. PERFuMITO NUEVO
5. WELTiTA
6. VeLDA
7. EL CLúB
8. KETU TeCRE
9. BOKeTE
10. KLOuFRENS
11. TURiSTA
12. CAFe CON RON
13. PIToRRO DE COCO
14. LO QUE LE PASÓ A HAWAii
15. EoO
16. DtMF
17. LA MuDANZA

https://www.debitirarmasfotos.com

第68回グラミー賞授賞式®

WOWOWオンデマンドにてアーカイブ配信中
https://wod.wowow.co.jp/program/206142

連載もくじページへ戻る

RECOMMEND

NiEW’S PLAYLIST

編集部がオススメする音楽を随時更新中🆕

時代の機微に反応し、新しい選択肢を提示してくれるアーティストを紹介するプレイリスト「NiEW Best Music」。

有名無名やジャンル、国境を問わず、NiEW編集部がオススメする音楽を随時更新しています。

EVENTS