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グラミー、スーパーボウル、ガガ来日。「移民と多文化」で振り返る1〜2月の音楽シーン

2026.2.18

#MUSIC

ジャスティン・ビーバーの生々しさ、バッド・バニーの新しい男性像

セメント:みなさん印象的なパフォーマンスってありましたか?

つやちゃん:話題になったのはジャスティン・ビーバーですよね。

泡沫:ええ、パンツ一丁で。

セメント:僕はあれすごく良かったなと思って。今回のジャスティン・ビーバーの新譜『SWAG』って、去年『Baby』というアルバムがすごく批評的に評価されたディジョンというアーティストと組んで作ってるんですけれど、今までのジャスティン・ビーバーの路線からするとびっくりするぐらい実験的なプロダクションを取り入れた作品で。

セメント:音源だと音響とか声の加工に凝っていて、プロダクション全体の魅力で引っ張っていく感じだったと思うんですけど、グラミーのパフォーマンスではそれを全部そぎ落として、ループするギターのフレーズの中でトランクスとソックスだけで立ち尽くして、鏡の前で自分の姿を見ながら、ジャスティンのあの声で——ものすごく切ない声ですよね——歌うっていうのが、エモラップとかグランジとかとも接続するっていうか。今の時代の不安な男性の姿というのを、そのままポンッて出したいみたいな感じがあって、生々しいものを見せられてるなと思ってドキッとしたんですよね。ああいうものを大舞台で、5分近くもやるってのはすごいことだなと思いました。

つやちゃん:あれだけのポップスターの行き着く果てというか、その批評性みたいなものが素直に出ているのが面白いなと思っています。いまセメントさんが仰った『SWAG』というアルバムも、ポップスターとしてどう演じてどう見せていくかみたいなところから一歩解き放たれて、自分のやりたいことをのびのびとやっている。ただ、のびのびと言いながらも、そこにはすごく切迫感みたいなものもあって。グラミーのような場がどんどん社会的な文脈を帯びていく中で、ジャスティン・ビーバーみたいな人がどう振る舞えばいいのか、本人が真剣に考えている気がしますよね。

セメント:そうですね。授賞式を見ていて、ソンバーの現代的に再構築された身体と、ジャスティンの今のポップスター男性の孤独な姿っていうのと、もうひとつ印象に残ったのがバッド・バニーのファッションです。ダニエル・ローズベリーが手がけたSCHIAPARELLIなんですけど、すごく構築的なシルエットになっていて、肩がバーンと広くて、ウエストがキュッと絞ってある。あれはSCHIAPARELLIの「ショッキング」という香水瓶をモチーフにしてるんですよね。SCHIAPARELLIがメンズ向けのルックをオートクチュールで手がけるのはかなり珍しいことなんですけど、マスキュリンなんだけどフェミニンに見えるし、フォーマルなんだけどフェティッシュに見えるし、官能的なんだけど禁欲的に体を絞る感じもあって。固定化されたジェンダー表現に縛られないというか、型にはまらない、自由なファッションをエンジョイする、今を生きる男性像という感じで新しいなと思ったんですよね。実際ファッション好きの間でもすごく話題になってたし。

バッド・バニー / © Getty Image
第68回グラミー賞を総括。バッド・バニーの象徴的な受賞と「音楽と政治」
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