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タイラー、クアデカ、ニーナジラーチなど7〜8月の注目新譜を音楽ライター3人が語る

2025.9.9

#MUSIC

1950〜60年代サウンドを再現した「治癒」のアルバム

—風間さんはいかがですか?

風間:はい。僕は7月〜8月、ナタリー・バーグマン(Natalie Bergman)というシンガーの『My Home Is Not In This World』というアルバムを取り憑かれたようにずっと聴いていました。一聴すればわかるんですけど、「本当にいまの時代?」っていうぐらい、1950年代とか1960年代のゴスペルソウルから、モータウンだったり、そういうところをそのまま再現したみたいなサウンドなんです。

島岡:シカゴの方なんですね。

風間:はい。いまはLAに拠点を移しているんですけど。『Mercy』という2021年のソロデビュー作は、お父さんを亡くして、その喪失からの宗教的な治癒をゴスペルソウルに見出すアルバムでした。今回の2枚目は、自分に子どもが産まれて母になって、というのをコンセプトにしたアルバムなんですが、そのタイトルに『My Home Is Not In This World』とつけるのもすごいと思います。1950年代、1960年代の工業的に作られたような甘ったるいようなポップを、徹底して自分の治癒のためだけに使うというやり方がすごく新鮮で、すごく個人的なアルバムでもあるんですけど、それが同時に開かれた形になっているっていう。

つやちゃん:聴いてみます。

風間:ノスタルジーの退避的な作用を全面に活かして、とにかく逃げて逃げて、逃げ続けて、でも逃げた先が一番工業的、大衆的なものになってるという、何重にもねじれがある。時代に逆行してそこから自分らしさを見出そうとする、というのは、さっき話したクアデカもそうですけど、それを相当とがった形で、目的に最短距離で向かってるような形でやっているような凄味もあって、めちゃくちゃ面白いと思います。曲の完成度もものすごい高いし、メロディもとにかくいい。誰が聴いても好きになるんじゃないかと思います。

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