メインコンテンツまでスキップ
NEWS EVENT SPECIAL SERIES
その選曲が、映画をつくる

『新世紀ロマンティクス』に聴く中国音楽の30年 90年代から現行マンドポップまで

2025.5.9

#MOVIE

ジャ・ジャンクー監督最新作『新世紀ロマンティクス』が5月9日(金)より公開となる。ある男女の20年に渡る物語を通じて、ミレニアム以降の中国の姿を映し出す、総制作期間22年に及ぶ大作だ。監督のこれまでの作品同様に、ポップミュージックの印象的な使用が重要な要素となっている本作を、評論家・柴崎祐二が論じる。連載「その選曲が、映画をつくる」第26回。

※本記事には映画本編の内容に関する記述が含まれます。あらかじめご了承下さい。

ジャ・ジャンクー作品世界の総決算といえる映画

現代中国を代表する映画作家ジャ・ジャンクー(賈樟柯)は、これまでの作品で、中国内外のポップソングをふんだんに用い、忘れることのできない鮮烈な瞬間を数多く作り出してきた。彼の映画において、既存のポピュラー音楽は、ただオリジナルスコアの代わりにBGMの用を務めるのでもなく、あるいはまた、ただ登場人物の心情を代弁させたり、ただ時代背景の説明が託されているのでもない。もちろん、そうした便益に供されることもないではないが、いつでも必ず、定石から逸脱した鮮烈な印象を、ときには突飛で奇抜とすらいえる強いインパクトを、観るものに与えてきた。

ジャ・ジャンクー監督

前作『帰れない二人』から6年の時を経て完成した新作『新世紀ロマンティクス』は、ある意味で、ジャ・ジャンクー作品世界の(現時点での)総決算とでもいえそうな映画だ。かねてより、現代中国を舞台に大河的なスケールの人間ドラマを手掛けてきた彼だが、本作では、自身の過去作『青の稲妻』、『長江哀歌』の映像素材や、撮りためていたドキュメンタリー用のフッテージを都度引用しながら、20年余りの間にじっくりと積み重ねてきたサーガのクライマックスというべき一編を完成させた。

記事一覧へ戻る

RECOMMEND

NiEW’S PLAYLIST

編集部がオススメする音楽を随時更新中🆕

時代の機微に反応し、新しい選択肢を提示してくれるアーティストを紹介するプレイリスト「NiEW Best Music」。

有名無名やジャンル、国境を問わず、NiEW編集部がオススメする音楽を随時更新しています。

EVENTS