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その選曲が、映画をつくる

映画『ペパーミントソーダ』の音楽が映し出す、1963年のフランス社会とその青春

2024.12.11

#MOVIE

「若さ」のきらめきは褪せない

毎年の夏、離れて暮らす父とのバカンスへと出かけていくアンヌとフレデリックの二人は、きっと数年後には家族の元から離れ、それぞれの人生を歩みだすことだろう。アンヌは、姉がたどったのと似た青春の道程を自らの足で巡っていくのかも知れないし、フレデリックは、この映画を作ったキュリス自身がそうであったように、1968年5月の革命の渦中へと飛び込んでいくことになるだろう。

その頃の彼女たちの部屋に流れているのは、The Beatlesや、ひょっとするとThe Rollng Stonesあたりかもしれない。かつて夢中になったクリフ・リチャードの歌声はきっと、映画の中に登場するポートレート写真の数々を引き出しの奥から引っ張り出してみるときにだけ、彼女たちの中で再び鳴り響くだろう。しかしそれは、過去の出来事へのほろ苦い哀切を彼女たちに抱かせるにせよ、決して未来を諦めることには繋がらないはずだ。なぜなら、そこに刻まれた「若さ」とその可能性のきらめき自体が光力を弱めることはないからだ。

本作『ペパーミントソーダ』が、公開から47年の時を経てもなお魅力を失っていないどころか、今まさにみずみずしい青春映画として私達の心を捉えるのも、キュリス自身がそうした「光」の姿を、この初作の隅々へ丁寧に映し出してくれているからに違いない。

『ペパーミントソーダ』 4K修復版

2024年12月13日(金)より渋谷ホワイト シネクイントほかにて公開
監督・脚本:ディアーヌ・キュリス
出演:エレオノール・クラーワイン、オディール・ミシェルほか
配給:RIPPLE V
Une coproduction LES FILMS DE L’ALMA – ALEXANDRE FILMS
© 1977 – TF1 DROITS AUDIOVISUELS – ALEXANDRE FILMS-TF1 STUDIO
https://www.ripplev.jp/peppermintsoda/

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