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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

鳥飼茜と語る、一度東京を離れてみたい理由

2025.9.30

#BOOK

「平和な生活をしている方が、不安がいっぱいになってくる」

鳥飼:最近、しばらく外国か地方で生活できないかなと考えてるんです。ずっと同じ家の同じリビングにいるのは、人生損してるんじゃないかみたいに思ってきて。

オカヤ:漫画は、道具は全部持っていけばある程度できますもんね。

鳥飼:せっかくどこでもできる仕事をしていてやらないのは損すぎる、もったいない、うらやましい、って人から言われたんです。打ち合わせとかも、ある程度は相手が合わせてくれる仕事じゃん。会社員だったらもっと他の人の都合に合わせなきゃいけないから、って。それだったら、さっさとしないと、動ける時間がどんどん短くなっていくなと思っているんです。

オカヤ:私もそれはすごいやりたいです。言葉も、いまは自動翻訳が進んでますからね。問題は円が安いことぐらいですね。

鳥飼:ね。円で稼いでドルで払うの、もったいなさすぎるというのはありますね。

オカヤ:ドルで稼げばいいんじゃないですか。

鳥飼:その方法を模索したいですよね! 難しいよね。許されてないわけじゃないけど、もう少し自由にできたらいいのにね。

オカヤ:事務が苦手だからな……。国によっての違いもありそうだし。源泉徴収どうするの? とか。

この日のメニューは、長芋と舞茸のグラタン、トマトのパクチー醤油と梅あえ、春雨サラダ、丸ごとピーマンの焼きマスタードびたし。 長芋と舞茸のグラタンのレシピは記事の最後に!

鳥飼:そうそう。あと、オカヤさんはあんまり家を出ないって言ってたし、生活を愛してる方じゃん。私も近いものはあるんですけど、一方で本当は刺激が欲しい人なんですよ。というか、ないとだめなんですよ。刺激って、いらない?

オカヤ:いらなくはないよ(笑)。刺激がないと輪郭がぼやけていくから。

鳥飼:刺激って、人によってはいらないって言うでしょ。毎日同じところで同じことをしているのが、自分にとっては大事、みたいな人もいるじゃん。

オカヤ:ああ、私は「毎日ぜったい同じ時間にこれをする」みたいなのはむしろ苦手です。行き当たりばったりでいたい。

鳥飼:私もそうじゃないと荒むんですよ。ずっと同じことの中にいると、自分から不安を探し出すんです。

オカヤ:それも刺激のうちだからってこと? 平穏でいすぎると不安を探したくなる。

鳥飼:そうかもしれない。「問題がないわけがない」って思っているんですね。それで、そんなに心配しなくてもいいようなところに「これはもしかして不安の種なんじゃないか」みたいにフォーカスしていっちゃう。だから、平和な生活をしている方が、不安がいっぱいになってくるんだよね。でも、旅とかに出ている間は、うまくいかなくて当然だと思ってるから、自分から不安を探す余裕はないじゃん。順番が変わるんだよね。

オカヤ:なるほど。私の場合で言うと、急に毛穴が気になりだす、みたいな話かな。

鳥飼:解決するべきことがないから作ってる、というか。それで知人に「解決が必要なことがどんどんあれば、そっちにエネルギーがいくはずだから、その方が向いてるんじゃないか」と言われたんです。

オカヤ:なるほど。社会運動するとか……? それか必殺仕置人。解決するのを請け負って回るの。

鳥飼:たしかにね。おせっかいだし、向いてるかもしれない。以前、友達の本が出るときに、「自分だけでPRしなきゃいけないからちょっと手伝ってくれないか」と頼まれたことがあったんですよ。私、そのときすごく盛り上がって、以前出たことのあるテレビ番組のディレクターさんとかにまで連絡したり、あの著名人に読んでもらったらよさそうだ、たしか友達が一回対談してたはずと思って、つなげてくれないか聞いてみたりしたのが、すごい楽しかったんです。

オカヤ:すごい。PR会社じゃないですか。

鳥飼:その作品が好きだったっていうのもあるけど、自分の本の宣伝のためにはぜったいしないことなんですよ。人のためだと、けっこう厚かましいこともできるんだなって。それは新しい発見でした。

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