SPAC-静岡県舞台芸術センターは、2026年度の年間ラインアップおよび「SHIZUOKAせかい演劇祭2026」の全ラインナップを発表した。
2026年度のプログラムでは、劇作家・石神夏希がアーティスティック・ディレクターを務める。国内外の優れた舞台芸術作品を紹介するSHIZUOKAせかい演劇祭、古今東西の名作を現代的な演出で上演する「SPAC秋のシーズン2026-2027」を軸に、人材育成やアウトリーチ活動も各地で展開していく。
「せかいはあなたの隣に住んでいる。」をテーマに掲げるSHIZUOKAせかい演劇祭2026では、4月25日(土)から5月6日(水・祝)まで静岡市内各所で開催。フランス / カタルーニャの現代サーカス作品『Qui som?(キ ソム)―わたしたちは誰?』、シンガポールから『マライの虎ーハリマオ』、フィリピン / スリランカのアーティストによる『マジック・メイド』の3作品を招聘。アジアと欧州を横断するプログラムが並ぶ。
さらに、国際交流基金との共催により、東南アジア諸国との舞台芸術交流事業「BIOTOPE(ビオトープ)」が始動。関連企画も多数予定されており、地域と世界をつなぐ新たな交流の場を創出する。
SPAC作品としては、石神夏希がブラジルにルーツを持つ地域住民と創作する新作『うなぎの回遊 Eel Migration』を初演。振付家・下島礼紗が袴田巌氏の「歩行」に着目した新作『さあ環境に抵抗しよう、死に抵抗しよう。そうさ生に抵抗するのさ、』の創作過程も公開される。また、宮城聰の代表作『王女メデイア』が再演を迎える。
同時開催の「ストレンジシード静岡 2026」は開催11年目。ストリートシアターの可能性をさらに追求し、新たな段階へと歩みを進める。
10月から始まる「SPAC秋のシーズン2026-2027」では、石神のディレクションのもと、多田淳之介演出『伊豆の踊子』(2023年初演)、瀬戸山美咲による新作『ニホンジン』、深沢襟演出の新作『星の王子さま』の3作品を上演。
チケットは、3月14日(土)から一般発売開始となる。
「せかい」はあなたの隣に住んでいる。
劇場という場所は都市に似ています。俳優は舞台の上で、初めて出会う誰かに向けて自分の存在をひらく。観客は俳優という他者を覗き込み、たまたま隣り合った人たちと共に物語を立ち上げる。その日に偶然、同じ空間に集まった見知らぬ者同士が「今ここ」ではない世界を想像し、心と肉体を共に震わせる。
本当は似ているというより、似ていてほしい、と願っているのです。劇場が都市に。そして都市が劇場に。目を伏せて乗り込む電車で、互いに聞こえないふりをする街角で。たまたま隣り合った誰かとの間に、そんな瞬間が生まれたらいいのに、と。
かつて「せかい」は物理的に遠くにいる他者でした。でもあらゆる距離が消失しつつある現在、「せかい」は手のひらの上でいつでも見られるのに触れられない他者、そして、すぐそばで暮らしているのに見えない他者になりました。距離が近いほど、自分とは異質な存在と折り合い、共存することは難しくなります。隣人同士の分断は深まり、攻撃は激しさを増すばかりです。わたしたちには資源を奪い合い、正しさを争い合い、相手を消し合う未来しか残されていないのでしょうか。お互いを透明な存在にして、やり過ごすことが平和なのでしょうか。
そんな都市に疲れたら、劇場の椅子に座ってみるのはどうでしょう。わかりあえない孤独を分かち合うこと。共に居ること。共に想像することを諦めないこと。それがユートピアであれディストピアであれ。楽天的すぎますよね。楽天的なふりでもいいと思います。なにせ戦いたい相手は「絶望」なのです。
劇場という場所は、都市に似ていてほしい。都市は劇場に似ていてほしい。だから、今年も演劇祭をやります。わたし/あなたの隣には、いったいどんな「せかい」が住んでいるのでしょうか。
SHIZUOKAせかい演劇祭 2026
アーティスティック・ディレクター
石神夏希





SHIZUOKAせかい演劇祭2026

4月25日[土]〜5月6日[火•振]
会場:静岡芸術劇場、舞台芸術公園、駿府城公園ほか
公式HP: festival-shizuoka.jp
