第173回芥川龍之介賞(以下、芥川賞)と、第173回直木三十五賞(以下、直木賞)の候補作が発表された。
新進作家による雑誌に発表された純文学の中編 / 短編作品の中から最も優秀な作品に贈られる賞である芥川賞と、新進 / 中堅作家によるエンターテインメント作品の単行本(長編小説もしくは短編集)の中から、最も優秀な作品に贈られる直木賞。第173回となる今回は、2024年12月から2025年5月までに発表された作品が候補作となった。
第173回芥川賞の候補作は、グレゴリー・ケズナジャット(Gregory Khezrnejat)『トラジェクトリー』、駒田隼也『鳥の夢の場合』、向坂くじら『踊れ、愛より痛いほうへ』、日比野コレコ『たえまない光の足し算』の4作品。外国語指導助手として来日後、京都文学賞を受賞しデビューしたケズナジャットと、デビュー作『いなくなくならないで』に引き続いての候補入りとなった向坂は2度目のノミネート。18歳だった2022年に『ビューティフルからビューティフルへ』で文藝賞を受賞しデビューした日比野と、群像新人文学賞受賞作が候補作となった駒田は初のノミネートとなった。
第173回直木賞の候補作は、逢坂冬馬『ブレイクショットの軌跡』、青柳碧人『乱歩と千畝 RAMPOとSEMPO』、芦沢央『嘘と隣人』、塩田武士『踊りつかれて』、夏木志朋『Nの逸脱』、柚月裕子『逃亡者は北へ向かう』の6作品。2009年にデビューし数々の人気シリーズを手がける青柳、新聞記者を経て専業作家に転身した塩田、デビュー作『ニキ』(文庫化時に『二木先生』に改題)が累計16万部を突破し注目を集める夏木は初のノミネート。候補作が山本周五郎賞にもノミネートされた逢坂と、候補作の『嘘と隣人』と同主人公の作品『夜の道標』がドラマ化される芦沢は2度目、複数の作品が映画 / ドラマ化されている柚月は3度目の候補選出となった。
第173回芥川賞と第173回直木賞の選考会は、7月16日(水)に行われる予定となっている。
第173回芥川龍之介賞候補作(掲載誌)
・グレゴリー・ケズナジャット トラジェクトリー(文學界 6月号)
・駒田隼也 鳥の夢の場合(群像 6月号)
・向坂くじら 踊れ、愛より痛いほうへ(文藝 春季号)
・日比野コレコ たえまない光の足し算(文學界 6月号)
第173回直木三十五賞候補作(出版社)
・逢坂冬馬 ブレイクショットの軌跡(早川書房)
・青柳碧人 乱歩と千畝 RAMPOとSEMPO(新潮社)
・芦沢央 嘘と隣人(文藝春秋)
・塩田武士 踊りつかれて(文藝春秋)
・夏木志朋 Nの逸脱(ポプラ社)
・柚月裕子 逃亡者は北へ向かう(新潮社)