押山清高が監督を務めた完全オリジナル短編アニメーション『赤のキオク』がYouTubeで公開された。
同作は福島県の今と魅力を詰め込んだ総合情報誌『ふくしままっぷ』を、より多くの人へ届けるために2024年12月に発足した「ふくしままっぷ友の会」の特別企画として誕生。3月27日(木)の公開直後から話題を呼び、4月1日(火)時点で再生数は260万回を突破している。

監督の押山清高は、2024年に藤本タツキの同名漫画を原作とする劇場アニメ『ルックバック』で監督 / 脚本 / キャラクターデザイン / 作画監督 / 原画を担当し、日本アカデミー賞の最優秀アニメーション作品賞をはじめ数々の賞を受賞。「アニメ界のアカデミー賞」とも言われるアメリカのアニー賞でも長編インディペンデント作品賞にノミネートされるなど、国内外で高い注目を集めている。
今回手掛けた最新作『赤のキヲク』は自身の出身地である福島県を主な舞台に、主人公の成⾧を通じて故郷への想いを描いた物語となっており、作中には会津地方の郷土玩具「赤べこ」も登場。押山は監督 / 脚本 / キャラクターデザインに加え、アニメーションや背景美術など全ての作画も担当した。



主題歌”赤のキオク”は、YUIや絢香を輩出したことで知られる音楽塾ヴォイス出身のeddaが歌唱。歌詞はeddaと押山監督が共同制作しており、全文が特設サイトに掲載されている。公開に際して押山、edda、編曲とピアノの演奏を担当した中島ノブユキからメッセージが寄せられた。
押山清高 メッセージ
昨年、監督した映画の公開を通じて、世界中から大きな反響をいただき、私にとっても特別な一年になりました。
そして、今の自分があるのは、多くの人との関わりや、恵まれた環境があったからこそだと改めて実感することが増えました。
2011年の東日本大震災当時、私は東京で仕事をしていましたが、福島で被災した家族や大切な人たちのために、何もできなかったという思いがあります。
その経験から、東京で創作を生業にできている今の自分の状況は、ある意味で、大切なものの犠牲の上に成り立っているのではないかという気持ちを抱くようになりました。
今回の『赤のキヲク』は、そんな自分の中にあるモヤモヤした想いを、何らかの形で吐き出す手段として制作したアニメーション作品です。
私にとって、福島で生まれ育った20年間は、消えることのない多くの原体験を作り上げた時間でした。
本作では、そうした自身の実体験をもとに、故郷を離れた一人の女性が、自分の原点を振り返る物語を描いています。
福島を知らない方には、その存在を知るきっかけに、また、福島に限らず誰にでもある「自分の原点」に思いを馳せ、忘れかけていた大切な何かを再確認する機会になれば幸いです。
edda メッセージ
この度は、心が温かくなる素敵な企画に歌唱、作詞にて参加させていただき、とても光栄に思います。都会で奮闘する主人公と、いつもひっそり見守っている赤べこちゃん。
「いつ帰ったっていい」「いつだって帰ることが出来る」と思ってるとなかなか地元に帰らずに気づけば何年も、、、なんて日を私も過ごしたなあ、なんて思い出しながら、当時の自分にも、そしていま同じように故郷を離れ頑張る人たちの心に寄り添えるようにと歌いました。
“帰る場所がある”という事実が故郷を遠く離れた土地でお守りみたいに自分を強くしていた。この歌も、「赤のキヲク」を見てくださった人のそんなお守りになってくれたら幸いです。
中島ノブユキ メッセージ
数ヶ月前、まだ仮のスケッチ線画状態の動画をいただいたときから不思議な力に心が揺さぶられました。動画の完成に向けて少しずつ画に色がのり躍動してゆく、この押山監督の深い思いのこもった作品に、私自身も突き動かされながら編曲を仕上げてゆきました。eddaさんの歌の強さに編曲は助けられました。この素晴らしい作品に参加できたことの幸せと責任を感じながら…。
『赤のキオク』スタッフ
●監督・脚本・絵コンテ・キャラクターデザイン・作画・背景美術:押山清高
●色彩設計・色指定・検査:末永康子
●仕上げ:Wish
岡宮志帆 周藤宏太 水澤紘介
今本滉紀 新井遥華 森田わか
尾久綾香 荻原ゆり愛 須藤悠季
鎌田彩夏 下司有紗 坂本静音
清野 聡 松本実久 屋良菜摘
末永康子
Wish制作 伊藤良樹
●撮影監督:出水田 和人
●撮影:T2studio
佐々木 景子
●音響効果:八十 正太
●サウンドミキサー:山本 和利
●声の出演:本泉 莉奈
●主題歌:赤のキヲク
作詞:edda 押山清高
編曲:中島ノブユキ
歌:edda
演奏(ピアノ):中島ノブユキ
(ギター):外園一馬
(オーボエ):庄司さとし
レコーディングエンジニア:飯村大貴
ミックスエンジニア:奥田泰次
音楽プロデューサー:佐々木史朗
音楽制作協力:山田聡美(ホリプロ)
●PV制作:廣瀬清志
●企画・監修:箭内 道彦
●福島県総合情報誌「ふくしままっぷ」デザイン:寄藤 文平
●企画制作:齋藤宏行
●プロデューサー:井上淳
春日大輝
●プロダクションマネージャー:寺師寛明
●Special Thanks:古手川昌樹 前田光晶 加藤真之
●アニメーションプロデューサー:永野優希
●アニメーション制作:スタジオドリアン
●制作・著作:福島県