3月28日(金)に公開される映画『レイブンズ』(原題:RAVENS)の本予告、本ポスタービジュアル、新たなスチール写真が解禁された。
フランス、日本、スペイン、ベルギーの合作映画となっている同作は、写真家・深瀬昌久の78年にわたる波乱万丈の人生を、実話とフィクションを織り交ぜて大胆に描いた「ダークでシュールなラブストーリー」。深瀬は妻・洋子やカラス(英:Ravens)を被写体にした作品など、自身の私生活を深く見つめる視点の作品を多く遺し、2023年には東京都写真美術館で企画展が開催されるなど、再評価の機運が高まっている。
監督と脚本を務めたのはマーク・ギル。深瀬役は浅野忠信、深瀬の妻・洋子役は瀧内公美が演じ、他キャストとして、古舘寛治、池松壮亮、高岡早紀が名を連ねている。
本予告の前半では、軽快なロックサウンドに乗って深瀬が次々とカラスや妻・洋子にシャッターを切り、写真家として各所で評価される姿や、写真に囲まれる中でのふたりのキスシーンなどが収められている。
後半は洋子が「カメラじゃなくて、あなたの眼で見てよ」と深瀬に訴えかけるシーンからはじまる。深瀬が身の回りの多くの人間から見放されていくシーンを経て、暗い部屋で洋子のポートレートにナイフを突き立てる深瀬の様子で終わっていく。映像内では、カラスや猫のサスケなど、深瀬の写真も随所に登場している。
本ポスタービジュアルは、写真家 / ミュージシャン / グラフィックデザイナーとしてのキャリアも持つマーク・ギルによる浅野忠信と瀧内公美のモノクロの特写を上半分、スペインで活躍する書家・永田充の書「鴉」を下半分に配置している。
また、マーク・ギルからのコメントも公開された。
深瀬昌久の作品に触れるたびに私はそのむき出しのエネルギーと卓越した技法と力強い息吹に驚かされる。
そして彼の歩んだ悲劇的にドラマチックでありながら滑稽でもある人生を知った瞬間、彼の物語は素晴らしい映画のテーマになることを確信した。
『レイブンズ』は何年にもわたって繰り広げられるある種壮大なラブストーリーであるが、それは使い古された意味でのラブストーリーではない。洋子との結婚生活を例えるなら急激に変化する戦後の日本という激流をボートで下る無謀な舟遊びとでも形容するべきかと思う。
私は洋子を形容するのに「ミューズ」という言葉は使いたくない。洋子は、まだ女性が自分の生き方を確立するのが困難だった日本の社会で、時代の先を歩いていた。一方で、日本の伝統や因習の中で尊敬されるべき存在であろうとした。
その意味で『レイブンズ』は日本社会と家族を描いた映画になるであろう。伝統と歴史を犠牲にして新しい文化に傾いていく日本。欧米文化の流入と60年代70年代にピークを迎える快楽主義思想の中で、深瀬は敗戦後の混乱と古い世代との隔絶の狭間で変わっていく日本の中心に自分がいることを認識していたのである。
ここ数年来、世界の映画ファンから実話の映画化に対する欲求が高まっているのを感じる。ここに世界的な評価の高まりとともに20世紀最高の写真家の一人として言及され始めた深瀬昌久という写真家の物語がある。
『レイブンズ』
監督/脚本:マーク・ギル 製作:VESTAPOL/ARK ENTERTAINMENT/ MINDED FACTORY/ KATSIZE FILMS/THE Y HOUSE FIILMS 製作協力:TOWNHOUSE MEDIA FILMWORKS/TEAMO PRODUCTIONS HQ
撮影:フェルナンド・ルイス 音楽:テオフィル・ムッソーニ ポール・レイ 出演:浅野忠信、瀧内公美、古館寛治、池松壮亮、高岡早紀
2024年/フランス、日本、ベルギー、スペイン/日本語、英語/116分/カラー/2.35:1/5.1ch
原題:RAVENS/日本語字幕:先崎進/配給:アークエンタテインメント
ⒸVestapol, Ark Entertainment, Minded Factory, Katsize Films, The Y House Films
■Instagram ravens__movie_jp
■X @RAVENS_movie_JP
3月28日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館、ユーロスペースほか全国ロードショー