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「インドア」を自称する四方が、現場主義のクラブに対して思うこと
ーダンスミュージックのモードになってからのライブに対する手応えをどう感じていますか?
四方:2024年の11月に東京でやったワンマンライブは、ここ1年でやろうとしてたことが一つ形にできたライブだったと思っていて、僕的に手応えはありました。
ー四方くんはもともとライブよりも曲を作るのが好きなタイプだったと思うのですが、ライブをやっていく上での葛藤はあったりしますか?
四方:イベントをオーガナイズして、その真ん中に立って、先頭を切って空間を作っていくタイプではそもそもないっていうのはあります。でもそこは努力するべき部分だなと思いながらやっているので、葛藤というわけではないかな。けど今ステージに立つ上で、自分自身がアーティストとして、一表現者として表現したいものと、ショーとして考えて、こう表現した方がプラスに働くだろうっていう、そこの葛藤はありますね。

ーアーティストとしてのエゴと、エンターテインメントとして見せる部分と、そこをいかに合致させるかの難しさがある?
四方:そういう葛藤はずっとありますけど、ここ最近はいい意味でエゴが少しずつ取れて、みんなで楽しめるような選択を取れるようにはなってるような気がします。そこは歪な構造かもしれないですけど、ポップカルチャーは抑圧されてたり、苦し紛れで生まれるからこそのオーラがあったりもすると思うんです。苦しんでる人の作品は悲しいけど面白かったりする。
ー四方くんはそもそもクラブ通いをするタイプでもないというか……。
四方:自分で「Indoor Newtown Collective」って名乗ってるくらいですからね(笑)。でもそれで言うと、現場主義的なことの意味もすごくわかるけど、もう少しカジュアルにダンスミュージックを楽しみたいというか、クラブという空間がもっと開いててもいいのになっていうのは、いち音楽ファンとしては思うので、架け橋になりたいとは思いますね。「ライブハウスには行くけど、クラブはよくわからない」っていう人が結構いると思うから、そういう人が「こういう気持ちよさもあるんだ」っていうのを体験できるようなバンドになれたら嬉しいなっていう思いはあります。

ーロックフェス的なノリは苦手だし、でも「好きなように踊って」と言われても、どう楽しんでいいかわからない、どっちにもはまりきれない人って実は多いはずで。ロックバンドとしての魅力もあるし、ダンスミュージック的な快楽も持ってる、YAJICO GIRLじゃないとすくい上げられない層があって、そこには可能性があるのかなと。
四方:そこに賭ける気持ちはありますね。やっぱり僕たちは「バンド」っていうのが一番根本のアイデンティティとしてあるので、全員でDJブースに立ってクラブミュージックだけ流すみたいな方向には進まないと思うんです(笑)。
だからもっと生っぽい、ロックバンドっぽいところもうまく混ぜたいと思っていて、そうなると最初に言ったThe Chemical Brothersとか、Fatboy Slimとか、デジタルロックと言われてたような音楽のニュアンスが、今回のハウスミュージックっぽいところにもう一つ乗っかってくると、よりバンドの音楽としても魅力的になっていくのかなと思いますね。