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ちっちゃくてどうでもいいことが、マジで当たり前みたいな顔して存在できる世界の方が楽しい
ー遠慮のかたまりに共通感覚があるからこそ、初めましての人でも打ち解けることができますよね。xiangyuさんは自分の足で地方まで行って、遠慮のかたまりについて直接「どう思います?」って人と話してて。地道だけど、その場で生まれる会話や関係性を起点に、じわじわ広げて作品にも落とし込んでいくのがすごく人間らしいですよね。
xiangyu:全然知らない人たちの会話とか飲食店で聞こえてくる声とかも全部、自分なりに噛み砕いて、解釈して、曲に落とし込んでいったんです。私にはそれも一種のコミュニケーションだから。それが今回の制作でめっちゃ大きかったなって思います。

ー落とし物を見つけた人がインスタでxiangyuさんをメンションすることも増えましたよね。
xiangyu:めっちゃ増えた。前にも、「落とし物の曲を聴いてから、下を向いて歩くようになりました!」って言われたことがあって。いいのか悪いのかわかんないけど、すごい嬉しかった(笑)。
私はメッセージを伝える手段として音楽を作るタイプではないけど、自分が思ってるのは、世の中にあるちっちゃくてどうでもいいことだって、普通に存在していいってこと。そういうのがマジで当たり前、みたいな顔して生きていける世界じゃないと、私はたぶん無理なんですよね。今回のアルバムは、自分史上一番ふざけた作品だけど、それがちゃんと作品として成立することがすごく嬉しい。「道端にネギがあるからなんなの?」って言われて落ち込んだこともあるけど、私は路上のネギを見てキュンってしたし、このスタンスのままで居続けたい。ネギが落ちてたよって報告し合える世の中の方がやっぱり楽しいじゃないですか。自分の「なんか好き」をシンプルにシェアできる空気がもっと広がったら、超最高だなって思う。
ー今日の生活は、あらゆる時間がタスクをこなす時間になってしまっていると思うんです。すぐに忘れる豆知識やニュースを吸収したり、メールを返したり。現代社会で効率主義に全振りしないで、どうでもいいくだらないことを愛でることができるのは、1つの豊かさでもある気がします。
xiangyu:いつからか友達と遊ぶ時にドロケイをしなくなったじゃないですか。昔はドロケイで一日中遊べたのに。ただ友達に会いたいだけでも、ご飯を食べるかお酒を飲まないといけなくなった。何歳になってもそういうくだらなさを楽しめる人が好きだし、自分もそうありたいなって思います。
