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モノへの執着、松井秀喜の逸話
なぜ、これほどまで、映画(ドラマ)に福田和子はこんなに(素材として)愛されるのだろう。改めて、彼女のプロフィールをまとめておく。
福田和子(ふくだかずこ)は1948年1月2日、愛媛県、松山市に生まれた。17歳で同棲相手の男と強盗事件を犯し、松山刑務所に服役。服役中、看守を買収した受刑囚の暴力団員と看守によって獄中で強姦されるという事件の被害者となる。出所後は松山のキャバレーで勤務。1982年、同僚のホステスを絞殺、その後、時効直前の1997年7月29日まで約15年にわたる逃亡生活を送る。逮捕に至るまでの期間も、逃亡中に繰り返された整形写真や、録音された電話音声(「あぶない、あぶない」)などが、幾度もニュース番組、ワイドショーで使用され、多くの人に強い印象を植え付けられることとなった。

私がいつも唸ってしまうのは、ホステスを殺害したあと、彼女の部屋にある家具一式を自分のものとすべく運び出すところだ。このモノに対する執着は、今の人には(中途半端に古い私にも)なかなか理解出来ない行動である。思い出すたび、昭和の事件だなあ、と思ってしまう。応接間には栓を開けることがない高級洋酒を並べ、書棚にはページを開くことがない百科事典や文学全集を並べていた、どこにでもあった光景を思い出す。よく考えてみると、福田和子の15年にわたる逃亡生活の半分以上は平成なのであった。
福田が石川県根上町の和菓子屋で店主と内縁関係にあり、店頭で販売を手伝っていたとき、まだ小学生だった松井秀喜がよく買い物に来ていて、彼女が逮捕された時には、「とても綺麗で優しいおばさんという印象だった」というコメントを残している。これも大好きなエピソードなんだけど、再現作品で扱われにくいのも、まあわからないではない。
