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東京はいつまでも夢を諦めさせない怖い街
山口:古舘は一度なにかに集中して、その中で得たものを音楽にしたり文章に書いたりして、自分の名前・スキル・人間性を高めていくべきなんだよ。それを一つのことに絞ってやったほうが絶対にいい。
音楽を作るのはやめちゃダメ。でも、自分が何者なのか、どう生きていくのかを、定点観測する時間が必要なんだと思う。ちゃんと自分を見つめてから、もう一度始めてほしい。おしるこに浮かぶお餅みたいに、沈んだり溶けたりしてさ、気づいたらなくなってる感じにはなってほしくないよ。
古舘:でも、ちゃんと一郎さんと約束したじゃないですか。数年後も変わらなかったら、寒い国に飛ばすって。
山口:うん、次は「北極で3ヶ月間アルバイト」。
古舘:いやいや、北極にアルバイトってあるんですか(笑)。
山口:今回は「旅」だったじゃん。移動だったでしょ? でも次回は違う。腰を据えて、現地で働いて、ワーキングクラスの生活をちゃんと経験する。その中で、お前がどんな文章を書くのか、どんな音楽を作るのか。役者としての深みも、そういうところから生まれると思うんだよね。
古舘:ついに「現地で稼ぎながら暮らす」ってことですね。

山口:日本にいたら、なんとなく生きていけるじゃん。しかも東京って街は怖いよ、いつまでも夢を諦めないで済む街だから。東京以外だったらそんなことないよ。お前ぐらいの年齢になったらさ、もう結婚してそろそろちゃんと仕事しろよとか、夢なんて諦めろとか、色々言われるんだよ。でも東京では家もあるし友達もいて、なんとなく生きていけるんだよ。それを脱却するために旅に行かせたけど、結局なにも変わらなかったってさっき自分で言ったよな(笑)。
古舘:もちろんいい意味で、「変わらなかった」という感じです。
山口:もし俺が本当に匙を投げたら、お前どうすんの?
古舘:まず一郎さんの家を訪ねると思います。
山口:絶対来ないでしょ(笑)。次はもっと身近な人に相談し始めるんだろ。腹据えろよ!
古舘:ちゃんと行きますって(笑)。