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ライブ感覚で録音した、ミシェル・ウィリスとの共演
―そして今作の“Pendulum”では、イギリス生まれカナダ育ちのシンガーソングライター、ミシェル・ウィリスをフィーチャーしています。
上原:ペンデュラムというのは振り子のことで、スウィング(=弧を描くような揺れ)と強いつながりがある。なので、バンドを入れてスウィング(=ジャズ特有の揺れるビート)でやりたいという気持ちがありました。英語の語感はすごくスウィングするものなので、この曲に英語の歌を乗せることを思い浮かべたときに、ミシェル・ウィリスがピッタリだなと思って。大好きなんですよ、彼女の歌声と世界観が。
―ミシェルさんの歌声のどういうところが好きなんですか?
上原:ブルージーで、スモーキーで。自分があんな声を持っていたら、ずっと歌っていたいだろうなって思わせるような魅力があるんですよね。
―お知り合いだったんですか?
上原:いえ、彼女のことは(ミシェルが参加した)デヴィッド・クロスビーのアルバムで知りました。それから彼女のオリジナルアルバム(2022年の『Just One Voice』)をよく聴くようになって大好きになり、それでお願いしました。「自分は今こういう曲を作りたくて、ボーカルはあなたしかいないと思っているんだけど、どうでしょう?」と。初めましてでしたが、彼女はすごく喜んでくれて、レコーディングでは「すごくいい1日になった!」って言っていました。
―実際、一緒にやってみて、いかがでした?
上原:いい意味でエフォートレス(気負わず)にやれたというか。パッと馴染んで、サッと録れた感じです。せーの! でやって、「あ、もうできちゃったね」って(笑)。
―こんなふうに歌ってほしいといったディレクション的なことは?
上原:スタジオに入る前、「ここにこう歌詞をつけよう」とか「ここでトランペットが入ってきたら、一緒にこうやってほしい」みたいなことを先に話していたので、本番はスッと。ライブをやる感じで録りました。
―歌詞も共作なんですよね?
上原:もともとこの曲は私の書いた日本語詞のバージョンを矢野顕子さんとやっていて。「こういう歌詞があるんですけど、ここにこういうワードを入れたいです」「こういうことを伝えたいんです」みたいなことをミシェルに話して、英語詞として完成させてもらいました。彼女はもちろん英語ネイティブなので、当たり前ですけど、そのほうがフレージングとかも上手く書けますから。
