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タマス・ウェルズが来日間近に語る。こんなにも不平等な世界に降り注ぐ「天使の歌声」

2024.4.10

『Tamas Wells Japan Tour 2024』

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ミャンマーの友人たちの肖像画を描き、大学での研究を書籍として発表。その先で生まれた6枚目のアルバム

―2023年には6年ぶりの新作『To Drink up the Sea』がリリースされましたが、前作から時間が空いたのはパンデミックの影響も大きかったのでしょうか。

タマス:いちばんの理由はパンデミックですね。パンデミック前に曲は書いていたのですが、メルボルンは長期間に渡ってロックダウンをしていたのでレコーディングができなかった。だから、本を書いたり(※)、画家として活動をはじめて肖像画のシリーズを描いたりしていました。

―肖像画のシリーズというと?

タマス:2021年にミャンマーでクーデターが起こって、再び軍事政権に戻ってしまったんです。私はミャンマーに向かい、活動家たちをサポートしました。そのサポートの一環として、ミャンマーの友人たちの肖像画を描き、それを販売して人道的な活動の資金にしていたんです。

※編注:2021年に発表された『Narrating Democracy in Myanmar』のこと。ミャンマーの政治や民主主義について書かれている

―本を書いたり、絵を描いたり、音楽以外の活動をしながらレコーディングできる機会を窺っていたわけですね。新作のプロデュースをMachine Translationsのグレッグ・J・ウォーカーに依頼したのは、どういう狙いからだったんでしょうか?

タマス:信頼できる人に制作に関わってもらいたいと思って、グレッグに依頼したんです。私はずっとMachine Translationsの作品が好きだったし、音楽を構築する方法においてグレッグは天才的です。新作のサウンドプロダクションに関してはグレッグに一任しました。

でも、ずっと彼のファンだったので、彼に連絡するのは怖かったんです。無名のアーティストからのオファーを取り合ってくれないのではと思って。幸いにも彼はプロデュースを引き受けてくれました。初めて彼の家を訪れたとき、グレッグに「曲を弾いてみてくれないか」と言われたのですが、ピアノを弾く手が震えました(笑)。

タマス・ウェルズ『To Drink up the Sea』収録曲

―グレッグさんはプロデュースだけではなく、いろんな楽器を弾いて演奏面でもサポートされていますね。

タマス:グレッグにはアルバムの早い段階から参加してもらいました。曲は事前にすべて書き終えていて、レコーディング中にグレッグが何か提案してくれたら、そのアイデアをすべて受け入れたいと思っていたんです。彼は特に楽器の重ね方に関して、いろんなアイデアを出してくれました。

―シングル曲“It Shakes the Leaving Daylights From You”はグレッグさんとのコラボレートのひとつの成果だと思います。いろんな楽器がレイヤーされてアレンジも凝っていますね、

タマス:この曲はパンデミックの最中に書きました。セブンスコードを使うことで1960年代っぽい音楽をつくってみようと思って、これまでいろいろ試していたのですが、この曲にぴったりでした。

バンドサウンドにするといいんじゃないかと思ってグレッグに相談すると、彼がいろんな楽器を重ねてくれたんです。たとえばブリッジの部分。最初はシンプルなピアノだけでしたが、グレッグはギターを何層も重ねてくれて、さらにシタールのような楽器も加えてくれました。

タマス・ウェルズ『To Drink up the Sea』収録曲

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