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「人生博覧会」ドラマ『対岸の家事』が描く令和の夫婦と親子の対話

2025.6.3

#MOVIE

©TBS
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身近な夫婦と親子で手を取り合うための答え

夫婦間の問題について向き合った詩穂と虎朗(一ノ瀬ワタル)©TBS
夫婦間の問題について向き合った詩穂と虎朗(一ノ瀬ワタル)©TBS

第8話では中谷と樹里(島袋寛子)、第9話では詩穂と虎朗(一ノ瀬ワタル)の夫婦間におけるわだかまりも描かれた。中谷家と村上家では目指す家族の形が異なるにしろ、夫婦だからこそ自分のことを見てほしい、理解して欲しいのは同じ。一方で、中谷と詩穂には、自らが抱える大きすぎるトラウマは相手に理解してもらえないという諦めもあるのだろう。

『対岸の家事』で特徴的なのは、他人と分かり合おうとする時は自然と対話の流れになるのに対し、夫婦間では話し合いを避けるために逃げ出したり、誰かの助けを借りなければ相手の考えを理解出来なかったりするところだ。夫婦は、話し合わなくてもどちらかが我慢して揉め事を回避すれば、普通に生活が送れてしまう。決定的な何かが起きない限り、理解し合おうとする心境に至れない。そして、他人との間には設けられる建前がなく、感情的になってしまうために、誰か他の人の力がないと、上手く話し合いができない夫婦も少なくないだろう。

父・純也(緒形直人)を許せないままでいる詩穂©TBS
父・純也(緒形直人)を許せないままでいる詩穂©TBS

そして、さらに難しいのが親子関係だ。詩穂の中には専業主婦だった母の死をきっかけに家事を自分に丸投げした父・純也(緒形直人)を許せない気持ちが残り続け、中谷の中には幼い自分に手を上げた専業主婦の母・理恵(長野里美)への憎しみが残っている。二人の中に残るわだかまりは、大人になってから親と距離を取るという形で表現されていた。そこには、対話をしても分かり合えるはずがない、対話する価値もないという想いが見える。中谷が専業主婦を非難し、詩穂が専業主婦を選択したように、親の育て方が子の生き方に及ぼす影響は絶大だ。しかし、絶大にも関わらず、対話で解決できるとは限らない。現実でも、こうした深刻な問題に悩む人は多いだろう。最終話では、詩穂と純也、中谷と理恵の親子同士の対話が描かれるようだ。様々な立場の人々が手を取り合う姿を描いてきた『対岸の家事』は、親子の関係にどんな答えを提示するのだろうか。

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