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薬膳ドラマ『しあわせは食べて寝て待て』が教えてくれる日常に潜む「良質な普通」

2025.4.29

#MOVIE

©NHK
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とろろ定食が届けた「ネガティブ・ケイパビリティ」

薬膳はさとこの職場の人たちとの心も繋いだ©NHK
薬膳はさとこの職場の人たちとの心も繋いだ©NHK

本作において薬膳は人の心を繋いでいく。ある時は、「好きなこと」繋がり。さとこがパート先のデザイン事務所「唐デザイン」で病気のことを明かすとともに薬膳の話をすることで、同僚の巴沢千春(奥山葵)もまた「歴史好き」の一面を明かし、一気に打ち解けていった。

また、ある時は、「経験」繋がり。鈴さんと初対面のときにもらった大根がさとこの頭痛を和らげ、司の勧めた干しあんずが、冷ややかな周囲の視線が気になる中、バスの中で咳き込むさとこのお守りになった。第2話で、職場で出会った編集者・青葉乙女(田畑智子)の「こう毎日(雨が)降られると気が滅入る」という言葉を聞いて、自分用に準備していた陳皮入りのジャスミン茶を出したさとこの小さな思いやりが、青葉の心を少しだけ晴れやかにしたのは、その後、デザイン事務所を後にした彼女が差したオレンジ色の傘と明るい笑顔から見て取れる。そして第4話において、今度は青葉が、副業をしたくとも「何もできない自分」に気づかされ落胆気味のさとこを気遣い、とろろ定食を食べに行こうと誘うのだった。そして、そのとろろ定食は、「ネガティブ・ケイパビリティ(自分ではどうにもならない状況を持ちこたえる能力)」という、今のさとこにとって重要な言葉を届けたのだった。

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