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さとこの心が無理なくゆっくりと外側に動くまで

また、本作は薬膳を通しての、さとこと人々の繋がりを描いたドラマでもある。それは決して濃密な関係ではない。常に適度な距離を保っている彼女ら彼らを見ていると、なんとも居心地のよい気分になる。
しんどくなったら少し距離をとってもいいということは、第4話で「レンタルスペース」の副業を始めるも、気疲れしてしまうさとこの姿と、団地住民でレンタルスペースの利用者だった目白弓(中山ひなの)が同じく団地住民の高麗なつき(土居志央梨)と一緒に高円寺のお店に行って喜ぶ姿の対比にも十分に描かれていた。「人と距離が近すぎる生活」に対して抵抗を感じ、同僚にも病気のことを明かせないさとこの様子から始まった本作は、その後、彼女の心が無理なくゆっくりと外側に動いていく様子を描き続けた。