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三味線をもっとカジュアルな存在にしたい
ー駒田さんにとって、理想のライブはどんなものですか?
駒田:「早代さんのライブに行くと元気がもらえる」と思ってもらえる音楽とステージを目指しています。
コロナ禍以降、「うるさい」とか暗くて強い言葉や表現が音楽に増えたような気がするんです。でも、私は明るくて前向きな言葉で人を元気づける音楽のほうが好き。音楽は共感だけじゃなくて、前に進む力を与えてくれるものであってほしい。人間の暗い部分をさらけ出すよりも、「こっちにおいで」とポジティブなパワーで導くことができる音楽を届けたいですね。

ー三味線奏者としての活動を通して、今後の目標はありますか?
駒田:三味線をカジュアルな存在にしたいです。プロの奏者が増えてほしいというわけではなくて、関わる人の分母が増えてほしい。かつて、三味線はもっと身近なもので、民謡もその土地に根ざした歌として、人々の生活に寄り添ってきたものだった。ラジオもインターネットもない時代に、田植えの歌がなぜ遠く離れた地域でも歌われていたのかというと、口伝えで広まりながら、その過程で姿形を少しずつ変えながら生き続けてきたから。今の時代にあやふやな状態で存在できるものってほとんどないじゃないですか。まるで大規模な伝言ゲームみたいで面白いと思うんです。三味線を「伝統」と崇めるのではなく、三味線をより身近な存在に感じてもらえるような活動をしていきたいと思っています。
だから、SNSではポップスのカバー動画を投稿するし、私の演奏会では民謡以外の楽曲も演奏します。生活の中にもう一度取り戻したいんです。そして、三味線人口を増やすための目標としては、譜面のリリースと修理技術の勉強に取り組んでいます。私も習い始めたころは情報が少なくて苦労したので、気軽に三味線に取り組めるような環境を整えていきたい。そして、三味線奏者よりも三味線を修理できる人の人口の方が急激に減少しているので、少しずつ修理の仕方も学んでいます。三味線は修理しながら長く使い続けるものなのですが、海外の方は特に修理が大変みたいで。ありもので代用している人もいるみたいなんです。私のオンラインの三味線レッスンに参加してくれている海外の生徒さんも多くいるので、そういう人たちのサポートもできたらなって思います。
