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新時代のアイコン「SATOH」インタビュー デロリアンで突っ切る積乱雲

2025.2.5

SATOH

#PR #MUSIC

好きな匂いを嗅いだときの「ワアッ」みたいな感覚になる音楽を生みたい

―SATOHの2人は、「どんな音を作るか」の前に、まず「どんな自分であるのか」を掘り下げて、そのうえでそれをどう音楽で表現するか、ということに向き合っていると思うんです。しかもこの1年でリリースした7曲は、それまで以上にSATOHの「人」が見えた気がしていて、その要因を知りたいなあと思うんですけど。7曲を振り返ると、まず“Welcome to life”はどういう想いから作った曲でした?

Linna Figg: “Welcome to life”の歌詞を書いていたときは、模索の真っ只中でした。(レコード会社との)契約もあって、環境の変化があったし、それを機に、自分の10年後、30年後とかまで考えましたね。30年後、俺のビジョンでは、SATOHはやってない。おじいちゃんになる前にやめようと思ってて。そういう中で「進むべき道はこれでいいのだろうか」とか、ベタに迷いや葛藤みたいなものがあったけど、「いや、いけんな」という気持ちになったときの曲ですね。あと、Harry Teardropという友達がニューヨークから来てうちに泊まってたんですけど、近所にあるスーパーのライフに行ったら「Welcome to LIFE」って書いてあって、ハリーがそれを見て「やばい、これで曲を作るべきだ」ってテンション上がってたのもあって作りました(笑)。

Kyazm:ギターは、すげえリラックスして弾いた記憶がありますね。

―言葉にするのは野暮かもしれないけど、迷いから抜け出しかけている心情にその音が合うと思った?

Kyazm:うん、そうですね。レコーディングするときも、自分の音の返しがほぼ聴こえないくらいの弱さで弾くことを試しました。曲の余白みたいなものを、ギターでも表現した感じです。

―“Rich & Famous”はどうですか?

Linna Figg: これはめっちゃ遊びっす。aryyくんっていう友達のラッパー / ソングライターがうちに来て、布袋(寅泰)さんのライブ動画を見て「布袋さんみたいなリフ作ろう」ってなって、めっちゃふざけながら作った曲です(笑)。

―メロウなバースからフックで爆発する構成で、自分と他のアーティストのアティチュードについて歌ってる“Rich & Famous”含め、7曲すべてを通して、SATOHが何を歌ってきたのかを一言で表すなら「愛とフラストレーション」だと思っていて。そう言われてどうですか?

Linna Figg: 恥ずかしいです(笑)。

―(笑)。遊びから作った曲であったとしても、7曲を振り返って、自分の中のどういうものが曲のもとになっていると思いますか。

Linna Figg: “Rich & Famous”はほぼフリースタイルみたいな感じだったけど、言われてみれば、そんなことを考えていたかもしれないです。フラストレーションはあったと思います。でも最近思ったんですけど……音楽を聴いてて、脳から成分みたいなものが出るときありません?

―脳汁?

Linna Figg: 脳汁もその一種ですけど。好きな匂いを嗅いだときの「ワアッ」みたいな感覚。たとえば映画とか、音楽以外でもその感覚は得られるんですけど、音楽でそうなることがめっちゃ多い。だから音楽が好きなのかなと思って。自分が作る音楽は、基本的にそうならないとしっくりこない。その成分が出ないときはデモもボツにしてるし。何を歌にしたいかというよりも、その成分を出したいという感覚で作ってるかもしれないです。

―私の場合、音楽を作っている人が隠し持ってるようなものが曲の中で見えた瞬間とかに脳が震えたりするんですけど、Linnaさんの場合、どういう要素にその「成分」が出るんですか?

Linna Figg:空港に行くと「ワアッ」ってなるんですよ。あと地元が横浜なんですけど、港北ニュータウンのマンションが、夕方になると部屋の光がドットに見えて、それが壁みたいで、空は下の方が青くて上の方は暗くなってる、みたいな。そういう場面も「ワアッ」ってなるんです。そういう感じ。それを作りたいわけじゃなくて、それと同じ種類の成分の出方がする音楽を作りたい。

―その感覚は、Kyazmさんと共有できているものですか?

Kyazm:その感覚自体は共有してないですけど、曲はめっちゃ好きです。そうじゃないと一緒にやってないし。俺は景色とかっていうより映画、ゲーム、漫画とかで脳が震える感覚になりますね。映像そのものというより、ストラクト、構造の方が脳にきます。

Linna Figg:天才やん。

Kyazm:めちゃくちゃわかりやすく言うと、「伏線」とか。それはちょっとわかりやすく言いすぎたけど……。

Linna Figg:そのときのバイブスによっては聴きたい曲が全然見つからないときもあるから、変なイキリとかじゃなくてマジで自分たちで作った方が早いというのもあります。逆に、この1週間は千葉雄喜のアルバムが大好きすぎて、ずっと聴いてるので、全然曲作りたい感じではないですね。今はいいかなって(笑)。

―聴きたい曲があるときは作りたい欲が湧かない、だから書かない、というスタイルをメジャー契約してからも保てているのは素敵じゃないですか。

Linna Figg:たくさん締め切りがあって、深夜のファミレスとかに行って書く、みたいなことってかっこいいじゃないですか。「それ、なんかいいな」と思って一回やってみたんですけど、普通に無理だった。

Kyazm:はははは(笑)。

Linna Figg:合ってないなと思ったら、無理はしないようにしてる(笑)。

―締め切りやテーマがある中で曲を書く、という音楽の作り方を否定するわけではなく、憧れたんですね。

Linna Figg:普通にかっこいいなと思います。誰かに提供する曲だったらいくらでも作れるんですけど、自分のものとして出すんだったら、気乗りしないと嘘になるじゃないですか。だからそんなにモチベないときに作っても意味ないなと思って。

―私が7曲から感じた「人が見える」というのも、そうやって自分からナチュラルに出てきたもので、しかも自分の脳が震えるものだけを、SATOHとして表現することを突き詰めたからなんだろうなと思いました。

Linna Figg:考える量が減った気はします。適当に出したものに対して「よりハマりがよくて、わかりやすくて、キャッチーで、伝わりやすいフレーズがあるんじゃないか」とかを考え始めると、完璧主義っぽくなっちゃうところがあって。2023年に出した『BORN IN ASIA』とかは、そうやってどんどんブラッシュアップするように作った気がするんですけど、それを一旦やめてみました。そんなに理由はないけど、その方がなんかいいな、面白いかなと思って。

―自分から出てきたものを、できるだけ飾りもつけずに出しちゃおうと。

Linna Figg:うん、そのままの方が結局いいかなって。たまにライブとかで聴いてくれている人と話したら、俺が思ってる以上にちゃんと聴いてくれて、いろんなことを思ってくれていたりして。「これを伝えたいです」みたいな感じでやってるタイプじゃないけど、そうやって自由に感じ取ってくれているんだったら、よりナチュラルな方がいいかなって思いましたね。

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