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「母」を巡っての都とひまりの会話に泣かされた第4話

では、個人的に、どういったシーンで涙を誘われたのか、振り返ってみよう。まずは、第4話。第1話から、ひとつ屋根の下で共同生活を始めた一平と正助とひまりと朝陽。少しずつ距離を縮めていった4人だったが、陽菜と前の夫との間に生まれた連れ子であるひまりとの距離は、今の父親である正助ですらも完全には縮まらないままだった。
そんな中、ひまりは次第に不登校気味になり、家庭内で勉強をする時間も増えていった。ある日、ひまりは正助に「お金が必要」と伝えるが、その使い道を尋ねられると答えられずに黙り込んでしまう。その後、薬局で万引きを行ってしまう。同じ女性である今永都(冨永愛)の助けを得て、一平と正助はひまりが生理用品を必要としてたが言い出せなかったことを知る。さらに、不登校の理由の一つが、病気で髪を失った母・陽菜のことを同級生にからかわれたことであったことも判明する。
都に今までの悩みを打ち明けるひまり。陽菜は生前、病室で生理用品を入れた手作りの袋をひまりに渡して使い方を教えようとしていた。しかし、ひまりは「(生理が)来たときに教えてよ。ねえ、いるでしょ。その時いるよね、お母さん」と、教えてもらうのを拒んでいたのだった。母が生きていれば、その時にきっと教えてもらえたはずだった。適した生理用品も買ってもらえたはずだった。からかわれることも無かったはずだったーー。陽菜の代わりに都へとその気持ちを伝え、泣き崩れるひまり。その姿に、こちらも涙せずにはいられなかった。さらに、同じ回では、都が独身として生きていく上での葛藤も描かれており、ひまりの相談に乗ることを通じて、都が母親の気持ちを理解したことで、一平の「こども食堂」に協力することを決めるという構成も見事だった。