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子どもの居場所づくりが、民間の善意任せになっている現状
─寺尾さんはご自身の連載(せかいしそう「子どもたちに寄り添う現場で」)のなかで、子ども食堂など、既存の学校教育以外の子どもを育む場にフォーカスして訪ねられていますね。取材を重ねられてきたなかで、どのようなことを感じていますか?
寺尾:子どもの貧困や格差が、より広がっていると感じています。子ども食堂が増えていることも、美談にされやすいけれど、そもそも国の取り組みが遅いんです。もちろん、そうした場所があることのプラスの面もいっぱいあると思うけれど、そこで踏ん張っている人たちが、息切れしているところもあるんだろうなという印象を持っています。

─連載の中でも、ボランティアや寄付など、意思ある個人の力に支えられている部分が大きいことに触れられていました。
寺尾:社会学者の芝田英昭先生が本に書かれていたのですが、厚生労働省がまとめている『厚生白書』を年代ごとに読み込んでいくと、この20年くらいで、「公助」という言葉が少なくなってきた代わりに、「共助」という表現の記載が増えてきたらしいです。でも、そうじゃないだろう、と思います。
夏休みに子ども食堂で1日1食しか食べられない子がいるような状況のなかで、国はなかなか給食費を全額出さないし、本当に未来のことを考えているのかなと感じます。助成金なども、ボランティアでぎりぎりで動いている団体は、申請したうえに、使ったお金の報告までしている余裕がなかなかないところも多いのではないでしょうか。そうした煩雑な報告が必要なため、大変だけれど一切助成金はとっていないという団体さんもいますね。民間の善意任せになっている場所が多いけれど、本来は自治体や民間任せではなく国としてもっと取り組むべきことだと思うんです。
※tomotoは一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)による助成金を取得している。


